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「バチン! というすごい音が」井上尚弥の完璧なボディを激写…“パンチを予見するカメラマン”がリングサイドで聞いた「危険な衝撃音」
text by
福田直樹Naoki Fukuda
photograph byNaoki Fukuda
posted2022/12/18 17:07
井上尚弥のラッシュを受けて崩れ落ちるポール・バトラー。リングサイドでKOシーンを撮影していたボクシングカメラマンの福田直樹氏に話を聞いた
「表紙を空けて待っているから」国内外から依頼が殺到
写真を整理していて気づいたのですが、井上選手の左手のグローブの甲にあるロゴの部分が、試合が進むごとに少しずつ削れていっているんですよ。堅いガードの内側を突くジャブを、それだけ執拗に打っていたということでしょう。あの鋭い左を受け続けたことによって、バトラー選手の集中力も削ぎ落とされていったんじゃないかと思います。
スーパーバンタム級への適応も、個人的にはまったく心配していません。これまでのところ、井上選手は体重を上げるごとに強くなっていますから。それも無理に体を作っているのではなくて、体幹といいますか、“芯”から確実にパワーアップしている印象です。マニー・パッキャオも階級を上げるごとに強烈さを増していきましたが、井上選手にもそれに近いイメージを抱いています。
もしかしたらバンタム級への減量は少しきつくなってきているのかも、というタイミングで4団体統一を果たして、いざスーパーバンタム級へ。最高の流れだと思いますね。
井上選手の試合は海外からの注目度も非常に高いのですが、特に今回は依頼の数がすごかった。国内外の35社以上に写真を頼まれました。イギリスの『ボクシング・ニュース』には「表紙を空けて待っているから」といわれて、さらにアメリカの『リングマガジン』にESPN、NHKも……。もう絶対に穴を空けるわけにはいきませんから、試合前のプレッシャーがすさまじかったです(笑)。
コロナはもちろん、熱が出るだけでもアウトなので、食べものにも気をつけて、家族との接触もなるべく避けて……。当日に抗原検査と会場の検温をクリアしたときは達成感と安堵感がありました。普通、試合前は緊張感があるものですけど、今回はむしろそこで一度リラックスできたので、いい撮影ができた気がします。試合前後の反響も含めて、いちカメラマンとして、こんなこと滅多に経験できない。素晴らしいKOを見せてくれたことだけでなく、貴重な機会を与えてくれたという意味でも、井上選手には感謝しかありません。
(構成/曹宇鉉)
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