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「浅田真央さんを目標に…」島田麻央14歳が4回転ジャンプを武器にジュニアの女王に! それでもトリプルアクセルにこだわる理由
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2022/12/15 11:02
ジュニアGPファイナルで4回転ジャンプを決め、205.54点の高スコアで優勝した島田麻央
濱田コーチに感じた魅力の1つは、トリプルアクセルだった。当時の島田は、ダブルアクセルはあまり飛距離が出ない跳び方をしており、フォームを直そうと考えたのだ。
「東京にいたときはトリプルアクセルに繋がらないようなアクセルの跳び方でした。左足が(離氷前に)上滑りして、高さが出なかったんです。濱田先生は紀平(梨花)さんにトリプルアクセルを教えたコーチなので、そのクセを直して欲しいと思ったのが、習いたいと思ったきっかけです。濱田先生に、トリプルアクセルに繋がるようなジャンプに直してもらえました」
わずか数カ月で4回転トウループを習得
紀平らをお手本にトリプルアクセルを練習し、2020年秋の全日本ノービスAで挑戦。成功はならなかったが、天才少女の片鱗を見せた。
一方で、当時はロシア女子が4回転ジャンプを武器に、世界のトップを席巻していた時期。トリプルアクセルと並行して、4回転の練習も始めると才能を現す。「もともとトウ系のジャンプの方が得意」という島田は、わずか数カ月で4回転トウループを習得し、2021年3月の京都府選手権でクリーンに着氷した。国内大会とはいえ、日本女子初となる4回転トウループの成功だった。
突如の年齢制限で五輪出場が8年後に。でも…
昨季は、シーズンを通して4回転が絶好調。「2026年五輪の金メダル候補」との期待が高まった。その矢先、今年6月にシニア年齢が15歳から17歳へ引き上げになり、五輪のチャンスは8年後へと先延ばしに。それは13歳の少女にとって、想像もつかないほど遠い未来だった。
しかし今季、意欲を落とすどころか、島田の勢いはむしろ増した。フリーではトリプルアクセルと4回転の両方を入れることにしたのだ。ジュニアGPは2戦連続で優勝し、ファイナル進出を確定。ポーランド大会では、トリプルアクセルを国際大会で初成功させた上に、4回転トウループも片足で着氷した。総合217.68点は、今季のシニア、ジュニアを通じての最高点という快挙だった。
得意とする4回転で種類を増やすのではなく、トリプルアクセルにこだわる理由も凄い。
「今のルールでは、(4年後に)シニアに上がってから、ショートでは4回転は入れられず、トリプルアクセルは入れられます。ショートで点差を出すには、トリプルアクセルは重要だなと思ったので、(2種類目の)4回転よりも先にトリプルアクセルを習得しようと思いました」
シニアに上がるのが4年後に延びたというのに、その対策を考えたという。長期的な戦略を練る姿勢に、8年後に向けた意欲が見て取れた。