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「他の選手はケガしちゃうんじゃないですか」選手の本音…RIZINで行われた“素手ボクシング”の是非「結局はやりたいか、やりたくないか」
posted2024/05/04 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
素手で顔を殴り合った感覚は「ハンパじゃなかった」。篠塚辰樹はそう振り返っている。彼が挑んだのは“素手のボクシング”ベアナックルファイトだ。
4月29日の『RIZIN.46』有明アリーナ大会。ここで行われたのがベアナックルファイトの一戦である。アメリカで人気を博しているBKFC(ベアナックル・ファイティング・チャンピオンシップ)の提供試合という形で組まれた。BKFCは先日、UFC最大のスターの1人であるコナー・マクレガーの会社が共同オーナーになったことでも話題を呼んでいる。
元ボクシング王者やMMAの人気選手、ムエタイの大物ブアカーオも参戦しているBKFC。日本での試合はこれが初であり、RIZINの新たな路線になるかどうかも含めて興味深いものだと言える。
グローブよりも、“顔面ボコボコ”状態になりやすい
篠塚はボクシングでプロデビューするとキックボクシングに転向し、RISE、K-1系イベントに参戦してきた選手。Krushでチャンピオンになったものの違約金を払いRIZIN参戦を果たした。
RIZIN初戦は昨年大晦日。オープンフィンガーグローブ着用のキックルールで勝利を収めている。
アメリカでBKFCの試合を見て「やりたい」と名乗り出たという篠塚。対戦したのはすでにベアナックルファイトで3戦のキャリアがあるJ.マルチネスだ。
ベアナックルファイトは、RIZINのリングで行われる試合形式の一つというだけではないように思われた。グローブなしで顔面パンチを認めるルールは、“野蛮”、“危険”というイメージが付きまとう。初期のUFCもそうだった。
素手の場合、グローブで殴るよりも外傷、つまり腫れや切り傷ができやすいとも言われている。殴り合うと、いわゆる“顔面ボコボコ”状態になりやすいわけだ。
ただ今回はそうならなかった。2分5ラウンドの試合は初回決着。1分33秒で篠塚がKO勝利を収めている。