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「クロマティ見てる?」「守備はド素人だったのに…」巨人ウォーカー、運転手も工場バイトもやった苦労人がまるで“プロ野球の桜木花道”な話 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/12/10 17:02

「クロマティ見てる?」「守備はド素人だったのに…」巨人ウォーカー、運転手も工場バイトもやった苦労人がまるで“プロ野球の桜木花道”な話<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

巨人のアダム・ウォーカー。トレードマークはドレッドヘアと20種類以上のヘアバンド。メジャー経験のない31歳の元・独立リーガーはまるで“プロ野球界の桜木花道”である

「道楽か……そーかもしれんね。日一日と……成長がはっきり見てとれる。この上もない楽しみだ」と安西監督は逸材・桜木の成長を見守ったが、夏場なかなかチームの調子が上がらず首位ヤクルトの背中が遠ざかるG党にとっても、ウォーカーの進化は数少ない楽しみだった。

 しかし、後半戦開始直後から打撃不振に陥ると、二軍で打席数を経験させたい首脳陣の意向もあり、8月19日に初の登録抹消。だが、背番号44はそれで終わるようなタマじゃなかった。その後、30日に再昇格すると、9月7日のDeNA戦で来日初の満塁弾。さらには11日の広島戦では初の1試合2ホーマーを記録した。「デニー友利、あなたが見つけてきた変な男は巨人に必要な男になったぞ……」と誰もが晴子ちゃん……じゃなくて、国際スカウトのデニー氏に感謝する中、最終的には124試合、打率.271、23本塁打、52打点、5盗塁、OPS.821でフィニッシュ。

 終わってみれば、相棒のポランコも12球団の外国人トップの24本塁打と、巨人の新助っ人コンビが20本塁打クリアは球団初の快挙だ。「おい……見てるかクロマティ……お前を超える逸材がここにいるのだ……!! それも……2人も同時にだ……クロウ……」とか思ったらポランコはあっさり自由契約になってしまったが、「2年目のウォーカー」は2023年シーズンの大きな見どころになるだろう。

スラムダンクも「すごく下手くそなところから始めて…」

 守備初心者だけど……いつか巨人の……救世主になれる人かも知れないよ……原さん!! アダム・ウォーカーっていうの―――。

 4位に沈み原政権初の2年連続の負け越しに終わった今の巨人は、まさに“がけっぷち”だ。かつてオマエサンデビルと恐れられた勝負の鬼・原監督も来年で65歳になる。逆襲に向けてリスタートを切ったこのオフ、すでに多くの外国人選手がチームを去ったが、ウォーカーは生き残った。首脳陣は、その伸びしろに未来を見たのだ。

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