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「クロマティ見てる?」「守備はド素人だったのに…」巨人ウォーカー、運転手も工場バイトもやった苦労人がまるで“プロ野球の桜木花道”な話 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/12/10 17:02

「クロマティ見てる?」「守備はド素人だったのに…」巨人ウォーカー、運転手も工場バイトもやった苦労人がまるで“プロ野球の桜木花道”な話<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

巨人のアダム・ウォーカー。トレードマークはドレッドヘアと20種類以上のヘアバンド。メジャー経験のない31歳の元・独立リーガーはまるで“プロ野球界の桜木花道”である

 打撃の方では4月17日の阪神戦で来日初アーチ。3番や5番も経験し、5月中旬からは「2番左翼」に定着。5月は打率.301、6本塁打。6月は打率.330、7本塁打と早くも日本野球に適応し、高いポテンシャルを見せつけた。あとは守備の上達だけ。6月28日の中日戦、同点で迎えた4回2死一、二塁のピンチでレフト前ヒットをさばいたウォーカーは、素早い動きでホームへノーバウンド送球。ついに来日初の補殺をマークする。ベンチに戻り、ウォーカーと満面の笑みで握手を交わした亀井コーチは、DAZNのカメラの前でこう答えている。

「うるっとくるよ。どう考えても補殺という言葉が思い浮かばないくらいだった。とにかくカットマンまでしっかり投げようねという目標だったし。その中で大きい目標を持たせるために補殺一個しようなと話はしていたから。それは嬉しいよね。どんな形であれ嬉しい」(GIANTS-INSIDE-「期待」より)

 まるで桜木のサマになったジャンプシュートを見た直後のように、「そりゃあ驚くぜ。巨人ファンの奴なら誰だってな……!!」と思わず観客を唸らせるウォーカーの飛躍的なスローイングの進化である。さらにフェンスを恐れずリバウンドをもぎ取りにいくようなジャンピングキャッチは、亀井コーチの現役時代を彷彿とさせ、「フェンス際の亀ちゃん・弟!!」と現地で話題になった。この頃、走攻守に渡り、そのアグレッシブさで東京ドームのスタンドを最も沸かせた巨人の選手は、間違いなくウォーカーだった。

「見てるかクロマティ」2年目のウォーカーから目が離せない

 トレードマークはドレッドヘアと20種類以上のヘアバンド。ホームランを放つとハートポーズでベンチを盛り上げ、試合前にはファンに愛用リストバンドをプレゼントするナイスガイ。ウォーカーは前半戦終了時で19本塁打を放ち、補充選手として来日1年目の球団外国人野手では、88年の呂明賜以来、34年ぶりの球宴出場を果たす。

 第2戦に「2番左翼」で登場すると、佐々木朗希(ロッテ)の球宴日本人最速タイとなる162キロの直球をセンター前へ運び、さらに4回の守備ではレフト前の打球をスライディングキャッチ。「タツノリの栄光時代はいつだよ……巨人4番のときか?オレは今なんだよ!!」なんて全身で主張するかのような躍動ぶりで、まさに令和の“ジャパニーズ・ドリーム”を実現させた。

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