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亡き兄貴分・木下雄介さんの背番号“98”でDeNA新加入、京田陽太28歳が明かす“1年目の覚悟”「雄介さんは努力を惜しまない方でした」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/12/12 11:00
新人選手のように意気込みあふれる表情を見せる京田。背中に亡き兄貴分への思いを込めた“98”を刻んでDeNA1年目を迎える
とにかく雄介さんは努力を惜しまない方でした
「とにかく雄介さんは努力を惜しまない方でした。独立リーグから育成で入団して、練習はもちろんケアにも力を入れる姿をずっと見てきました。支配下となって中継ぎの一角を担うようになり、僕自身雄介さんと一緒のグラウンドに立てると思うと嬉しかった矢先にあのようなことが起こってしまって……」
努力家であり、また人柄もよく誰からも愛された木下さんは、京田にとってこの世界を生き抜く道標となる存在だった。
「まあ、ちょっと愛想は悪いんですけどね(笑)。ただ一度は野球を辞めて、再びこの世界に戻ってきたり、普通の人には歩めない人生を送ってきているので“強い”というか、自分をしっかりと持っているところは見習わないといけないと思っているんです」
1年目というか、もう一回、こっからスタートですね
敬愛すべき兄貴分への想いも背負い、京田はDeNAで心を定め、“強く”サバイブしていく。
「1年目というか、もう一回、こっからスタートですね」
小さく頷くと、晴れやかな表情で京田はそう言った。
先ほど「顔に感情が出るタイプではない」と京田は自分自身のことを語っていたが、プレー中はまだしも、こうやって話しているときは真面目な面持ちながら感情豊かに柔和な雰囲気を漂わす。多くの苦しい経験をしたからなのか、その様子はある意味“達観”のようにも感じられる。リスタートを切る京田がタテジマのユニフォームを身にまとい、果たしてどのようなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみに待ちたい。
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