「石井コーチとはコロナ以前に食事をさせてもらう機会があって、いろいろと野球の話をさせてもらいました。トレードが決まったときも連絡をして『しっかりバットを振っておけよ』と言っていただきました。僕と同じ右投げ左打ち、バッティングはもちろんショートでも実績を残している方なので、非常に楽しみにしています」

三浦大輔監督からは「新しい京田を見せてもらいたい」

　また指揮官である三浦大輔監督からも「環境を変えて、新しい京田を見せてもらいたい」と、力強い言葉をもらっている。

「お会いする前は“番長”と聞いていたので、何か雰囲気がある人なのかと思っていたのですが、話すとすごく選手目線に立って語ってくれる方でした。『何か困ったことがあったら連絡してきてくれ。とにかく楽しんで思いっ切り野球をやってくれ』と、声を掛けていただいたので期待に応えたいですね」

監督の三浦大輔　©Hideki Sugiyama

　プロ野球の世界は、上手く行くことよりも失敗することの方が多い。京田はそれを身をもって痛感したわけだが、窮地に陥ったときなにより大切なのは切り替えることだ。今年はそれが上手く行かず「自分にちょっと負けてしまいましたね……」と、京田はポツリと本音を漏らした。

移籍が決まったとき、すぐ頭に浮かんだのが“98”でした

　心機一転のDeNAでの日々。京田が新しい門出に合わせて選んだのは『背番号98』だった。これは昨年急逝をした木下雄介さんが背負っていた番号である。ドラフト同期で1歳上の木下さんは、公私ともに仲の良かった掛けがえのない先輩だ。

「移籍が決まったとき、すぐ頭に浮かんだ番号でした。プライベートでも家族ぐるみでお付き合いさせていただいて、本当兄貴といってもいい存在だったので、迷いなく98番を選ばせていただきました」

　凛とした表情からは想いと覚悟がにじむ。

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