オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦は涙を浮かべていた…アイスショー八戸公演で見せた“魂とクオリティの90分間”に、記者は再び驚いた「28歳はプロだけの自分になる」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2022/12/06 17:00
12月5日、アイスショー「プロローグ」八戸公演で千秋楽を迎えた羽生結弦
「プロローグ」に込められた“羽生の魂”
あれから11年あまり、羽生が大切に抱えてきた思いも映像や写真、メッセージと演技が伝えていた。そこには羽生の魂があった。魂がすべてのプログラムに、ショー全体に込められているからこその「プロローグ」であることを象徴していた。そして羽生が自らの思いを大切に抱えてきたことは、最後に演じた『ロシアより愛を込めて』において、9歳のときの映像に重なるようにスピンをし、同じポーズのフィニッシュで終えた光景にもあふれていた。
それらの姿勢から生まれた公演だったからこその拍手と称賛であった。
公演のトーク中にこぼれた「印象的なある一言」
公演が終わるとき、1つの案内が流れた。来年2月26日、東京ドームで公演「GIFT」を開催する知らせだった。
「『GIFT』に込めた思いは、今までこうやってアマチュア時代をやっていくにあたって、やっぱりいろんな支え方を皆さんにしていただけたなと思っていて。やっぱりそういう方々への恩返しじゃないですけど。自分の物語は最初、恩返しから始まるかなと思って、贈り物としてのGIFTというタイトルをつけました」
と説明した羽生は、こう語ってもいる。
「ちょっとプロに……僕の理想とするようなプロにちょっとなってきたかなって、足を一歩踏み出せたかなっていう気持ちでとりあえず27歳を終えることができると思います。28歳はほんとうにプロだけの自分になると思うので、大きな節目を超えた自分がアマチュア時代の自分とかを見たときに、『今の方がうまいな』と胸を張って言えるようにこれからもどんどん成長していきたいです」
公演の中のトークではこんなひとことがあった。
「始まりの始まり」
恩返しの旅は続く。
かつてないありようを示しながら、さらに高みを目指していく旅が続く。
その始まりを高らかに告げたのが「プロローグ」だった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。