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「いやいや、オレは優勝目指してるから」本田圭佑25歳が明かしていたW杯優勝のイメージ「グループ突破って、どんだけ低い目標なん!?」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTamon Matsuzono
posted2022/11/27 17:11
2010年南アW杯の翌年、CSKAモスクワでプレーしていた本田圭佑に直撃インタビュー。W杯優勝のイメージを明かしてくれた
「最近読んだ本で印象に残ったものはあります?」
こちらが答えに迷っていると、本田がすぐに言葉を続けた。
「サミュエル・スマイルズっていう作家を知ってます? 彼が書いた『自助論』という作品。最近読んだ中では、一番良かったかな」
スマイルズは1800年代に活躍したイギリスの作家で、『自助論』は1859年に発行された。日本では明治時代に発売され、福沢諭吉の『学問のすゝめ』とともに大ベストセラーになった古典だ。
「題名どおり、自分を助けるっていうことを唱えている本。ようは自分を助けることができるのは自分だけだと。すっごくいいよ」
ちょっと冗談っぽく本田は言った。
「もし原稿の最後に2行くらい余ったら、マコ(長谷部誠)やユウトの本もいいけど、『自助論』もいいよって書いておいてよ」
最近、ウサギとカメの話をよくするんですよ
本田の携帯電話が鳴った。どうやら車が到着したらしい。本田はさっと伝票を取り、こちらの分まで支払ってくれた。
「最近、身近な人にウサギとカメの話をよくするんですよ。日本人は足も遅いし、身体も弱い。そのカメがウサギに勝とうと思ったら、進み続けないといけない。悩んでいる同級生とかがいたら、それをぶつけますね。『どうやったら勝てるか考えろ。進み続ける以外にないやろう』って」
手配してもらった車にこちらが乗り込むと、本田がガッシリとしたアゴを引き、手を軽くあげた。まるで映画の中の主人公のように。
<前編から読む>