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“Yogiboで寝る馬”動画をどう撮った? 牧場代表・岩崎崇文が語る“あのCMができるまで”「失敗する気はなかった」「“たてがみ切り取り事件”は…」 

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伊藤秀倫

伊藤秀倫Hidenori Ito

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/12/25 17:06

“Yogiboで寝る馬”動画をどう撮った? 牧場代表・岩崎崇文が語る“あのCMができるまで”「失敗する気はなかった」「“たてがみ切り取り事件”は…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

アドマイヤジャパンの動画で話題になる前には、たてがみ切り取り事件やネットでの炎上騒動を経験してきた岩崎崇文さん。本人に話を聞くと…

場内に看板がほとんどない理由

 一方で私自身が同ファームを訪れて気付いたことがある。このような事件があったにもかかわらず、見学客に対する「注意書き」や「禁止事項」を伝える看板の類がほとんどないのである。

「ないですね。景観を損ねたくないんです。日本って看板立てて、注意喚起しておけばいいみたいなところがあって、駅なんか『あれをするな、これをするな』ってめちゃくちゃ看板だらけじゃないですか。でも海外とかいくと、全然ないですよね。だからウチも極力、そういうものは置きたくないんです。ただ最近は置かざるを得ないかな、という状況も出てきてはいるのですが……」

 例えば馬の前でいきなり傘を開いたり、フラッシュを焚いて撮影したり、牧場内で当たり前のように自分の犬を散歩させてしまう客もいるという。

「単純に馬という動物のことをよく知らない人たちも来てくれているということだと思うんです。だからそういう人たちに、この機会に馬のことを知ってもらうことも大事だな、と」

僕は別にいいんです。炎上しても(笑)

 一方で、近年では「牧場には来ない人たち」の方が厄介だったりもする。

 今年8月、崇文さんは繋養馬のスイーズドリームスが放牧中に牧柵に突進し、牧柵を壊して放馬する動画をSNSに投稿した。〈運が良いことに擦り傷のみでした〉と書いてある通り、馬の無事を確認したうえで、母・スイープトウショウ譲りの「やんちゃ」なスイーズドリームスの個性を紹介したつもりだったが、一部のファンや牧場関係者などから〈なぜ止めないのか〉〈動画を撮っている場合か〉といった批判が寄せられ、いわゆる炎上状態になってしまった。

 これに対して崇文さんは当時、「J-CASTニュース」の取材に応じる形で、〈普通は止まると思います。まさか牧柵に突っ込んでくる奴はそうそういません。自殺願望があるならば止めてください〉と反論した。いうまでもなく全速力で牧柵に向かって走ってくる体重400kg以上の馬を生身の人間が止めるのは、かなり危険な行為だからだ。

 もちろん事故がないに越したことはないが、馬が生き物である限り、予期せぬことは起り得る。大事なのはその後の対策だ。スイーズドリームスの放馬後、崇文さんはその日のうちに、馬が境界を認識しやすいように牧柵の位置を移動し、色を塗るなどの対策をとっている。

「言いたい人には言わせておけばいいかな、と。あの短い動画を見ただけで、よくそこまですべてをわかったように批判できるなあ、とは思います。ただ炎上すると、これまでウチのことを知らなかった人が見てくれたり、メディアに取り上げられたりして拡散するので、僕は別にいいんです。炎上しても(笑)」

【次ページ】 「破壊神」タニノギムレットのハイペースな牧柵破壊

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