フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
“りくりゅう”が見せた「くしゃくしゃの笑顔とハグ」の舞台裏…怪我からの復活、三浦璃来&木原龍一を支えたコーチからの言葉「常に強くあれ」
posted2022/11/05 11:02
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
世界銀メダリスト、三浦璃来&木原龍一が今季の初試合となったGPシリーズ2戦目、スケートカナダで初優勝を手にした。日本のペアとしてGP大会優勝は初である。だが彼らにとって、これは決して楽々と手にしたものではなかった。
昨シーズン二人は、ペア界に新風を吹き込んで一戦ごとに破竹の勢いで成績を上げていった。北京オリンピックでは団体戦日本チームの銅メダルに大きく貢献し、世界選手権では日本人ペア過去最高の銀メダルを獲得。「りくりゅう」の愛称でファンに親しまれてきた二人は、順風満帆で前進していたかのように見えた。
だが今季は、二人に新たな試練が襲い掛かった。7月に愛知で開催されたアイスショーで、三浦が激しく転倒して左肩を脱臼してしまったのだ。そのため今大会に向けての調整は、ギリギリで間に合ったという状況だった。
表情が硬いように見えた二人
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昨季は氷の上に出てくるたびに、二人とも滑ることの喜びを身体全身で表現していた。その観客席まで届くような明るいオーラは、彼らの持ち味であり、魅力の一つだった。だがこのスケートカナダでは、公式練習から二人は遠目にも少し表情が硬く、余裕のない様子が見てとれた。
新SPはリチャード・ロジャース&オスカー・ハマースタイン2世作曲の「You’ll never walk alone」。それでも本番になると、特に三浦の身体の動きのキレが格段に良くなったのはさすがだった。3ツイスト、3トウループ、リフトと順調に進み、スロウ3ルッツで着氷が乱れたのが唯一のミス。73.39を獲得し、トップに立った。