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坂本花織は「素晴らしかった!カオリはちゃんと先を見ている」ブラウンが絶賛し、新世代レヴィットが憧れた世界女王の新たな挑戦
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/10/27 11:03
スケートアメリカにて優勝を果たした坂本花織。世界女王の貫禄を見せつけた
それまでポニーテールがジャンプの着氷時に顔に当たることに慣れていたので、髪を切って初めてジャンプを跳んだ時に、違和感があった。だが数日間で調整はできたという。今は二カ月に一度はカットしてもらい、今シーズンはずっとこのヘアスタイルを保つ予定なのだという。
衣装も2着とも新しいデザイナーに依頼して、丁寧に仮縫いから調整をした。
「自分がどうしたら身体が一番良く見えるかというのが、衣装を通じてわかってきたかなと思います」
レヴィットとのセルフィ―
オリンピックで銅メダル、世界選手権タイトルを手にしてからスケート以外の仕事の依頼も増えた。だが一般人に声をかけられることは意外と少ないという。
「最近よく学校行くんですけど、普通に授業受けて普通に帰っています」。だが一度だけ、男の子の4人組に声をかけられたことがあった。
「すいません、もしかして坂本花織さんですかと言われて、そうですと言ったら、写真撮ってくださいといわれて。久しぶりに大学で声をかけてもらったので、ちょっと嬉しかったです」とニッコリ笑顔を見せた。
嬉しいサプライズは、この大会中にもあった。女子の会見で、2位に入った世界ジュニアチャンピオン、イザボー・レヴィットにアメリカの記者が「憧れているスケーターは?」と聞くと、彼女は恥ずかしそうに「カオリ……」と答えたのだ。
「彼女はとても強くてパワフル。自由自在に滑っている感じがする。ここで会えたのはとてもエキサイティングでした。実はロッカールームで顔を合わせるたびに、セルフィ―を撮らせてもらおうかなと思っていました……」とレヴィット。
横に座っていた坂本は驚いた顔をして、レヴィットの称賛の言葉を照れた表情で聞いた。
7歳年下のライバルからの告白を、どう感じたのか。
「直接憧れと言われるのが、ほとんど初めてだったので……」と嬉しさを表現する一方、「これから出てくる子なので、ライバル視していけたらなと思います」と冷静な部分も。
会見の後には、笑顔でレヴィットのセルフィ―に応じていた坂本。この気さくな世界女王が、これから4年間どのような進化を私たちに見せてくれるのか、楽しみだ。
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