案の定、カンデラリオとの仕切り直しの一戦で、平良は「セコンドとの意思の疎通はバッチリだった」と振り返る。

「最初は動きが堅いと思ったけど、そのあとは冷静で、本当に初めてといっていいくらいセコンドの指示がよく聴こえたし、自分から『いま何分ですか？』と目で訴えることもできた」

　結果は3-0とフルマークの判定勝ち。今春、沖縄でかつてのライバル・志朗とともにミニキャンプを張った那須川天心は平良と一緒に練習する機会を持ったが、練習後には「平良選手は強くなる人特有の向上心を感じさせる人でした」と語っている。神童からの最大級の賛辞だが、平良はその期待に応えたことになる。

　10月15日（現地時間）には、C.J.ベルガラとのUFC第2戦が決まった。「9月か10月には次の試合がやりたい」と語っていただけに、理想的な試合間隔だ。ベルガラ戦のため、平良はいつものパラエストラ千葉ネットワークで合宿を張り、タイ・プーケットにあるタイガームエタイでの練習も経験。さかのぼれば1月にはアメリカのエクストリーム・クートゥアで練習もしている。

「アメリカで練習したときにはもっと長く滞在したいという気持ちになりました。でも沖縄が好きなので、最終的には沖縄に戻ってきたい」

沖縄から世界へ羽ばたく22歳の“地元愛”

　地元で特に好きなものについて訊くと、平良はソウルフードでもある沖縄そばをあげた。

「『楚辺そば』という大好きな沖縄そば屋さんもあります。出汁にこだわっているかどうかはわからないけど、そばの上に乗っている柔らかいお肉が美味しい。UFC第1戦のあと沖縄に戻ったらすぐ行こうと思ったけど、自宅でお母さんが沖縄そばを作って待っていてくれました（笑）」

　沖縄そばを食べ慣れているだけに、いわゆる「和そば」を初めて食べたときは衝撃が走った。

「何これ？　ソーメンじゃん！」

　また、お気に入りの場所は、県南部にある平和祈念公園だという。

「平和の礎（いしじ）が並んでいて、そこにおじいちゃんと一緒にお盆の日にお花を持って行ったりしていました。悲しい場所でもあるけど海もきれいだし、僕としては楽しいイメージもあって、心が洗われる場所でもある。沖縄はまわりの人も温かいし、本当に住みやすいですね」

　松根は「平良達郎効果で（以前にも増して）若い子の入会が多くなった」と相好を崩した。

「『僕も達郎君みたいになりたい』という子がいっぱいいるんです」

　沖縄から世界へ。未来は自分で創る。