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「落合さんには打たれていいけど…」若き松井秀喜の穴を攻め切った「仰木マジックと専用左腕」とは〈日本シリーズ秘話〉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySports Graphic Number
posted2022/10/25 11:02
際どいボールをよける松井秀喜。オリックスは「シリーズから消す標的」として攻めてきた
「そうなると松井は打ちますよね。だからあのシリーズが第5戦で決着したのは、オリックスにはラッキーだったんですよ」
もし、第6戦以降にもつれこんでいたら、一番警戒していた松井を封じ込むカードは、おそらくもう通用しなくなっていた。そうなったら巨人の逆転も十二分にあったはずだ、と高田は振り返っている。
松井はその後、日本シリーズとワールドシリーズで輝いた
このシリーズで松井は結局、19打数4安打の打率.211と抑え込まれた。一方のイチローも、シリーズ通算19打数5安打の打率.263だったが、第1戦で放った決勝アーチが、結果的にはシリーズの流れを決する一打となった。
「この悔しさを何十倍、何百倍の喜びに変えられるように努力します」
敗戦後に松井はこう唇を噛んだが、その努力の先に2000年の日本シリーズ、そして'09年のワールドシリーズでのMVPという栄冠が待っていたのである。
<清原編、イチロー編につづく>