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あのメイケイエールが“オリコン3位”にランクイン! なぜ競走馬の写真集がブームに?「馬への愛情の向け方が変わってきている」
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by2020 Kosaido Publishing / GUIDEWORKS CO.,LTD.
posted2022/10/01 17:01
なぜ、いま競走馬の写真集が人気なのか? 企画を担当した編集者に話を聞いた
メロディーレーンの写真集は“関係性”に注目
ソダシ写真集の好評を受け、“第二弾”として岩崎さんが注目したのが、350kg前後という小柄な馬体でオープン入りを果たしたメロディーレーンだった。
「ソダシがそうであったように、写真集を作る場合にまず重要になるのはビジュアルですよね。その点、メロディーレーンの“小ささ”は非常にわかりやすい。重賞馬ではありませんが、『小さくてもこれだけ頑張っている』という彼女のドラマ性は、競馬ファンを超えて一般層にも訴求するだけのパワーがあるのではないか、と考えたんです」
加えて、弟のタイトルホルダーや、長距離レースでたびたび相まみえる馬たちとの関係性を意識した視点も、メロディーレーンの写真集には織り込まれている。純白のソダシが「ピンで映える」アイドルホースだとすれば、メロディーレーンは馬体の大きさの違いも含め、他馬との交流や比較によって魅力を発揮するタイプだと言えるかもしれない。
「馬同士の関係性って、人間から見てもどこか微笑ましいものがありますよね(笑)。こうして写真集を出させてもらって思うのは、近年は強さや速さだけではなく、個々のキャラクターの部分がファンの心を打つようになってきている、ということ。月並みですが、新しい競馬ファンのあり方、競馬文化の広がりを感じます」
メイケイエールの写真集は驚きのオリコン3位
冒頭で紹介したメイケイエールの写真集『一生懸命、全力疾走』を手がけたガイドワークスの山本さんは、同社の雑誌『競馬王』をはじめ実践的な“馬券本”を主に管轄してきた。
「廣済堂出版さんのソダシの写真集や、Numberさんの『名馬堂々。』に触発されて、うちでも競走馬にフォーカスした本を出したいな、と。それも、できれば現役のアイドルホースで出したい。どの馬がいいかと考えたときに、デビュー前から推していたメイケイエールが浮上しました。かねて『競馬王』の赤佐編集長が武英智調教師と仲良くさせていただいていたことも、ひとつのご縁だったと思います」
大本命としてスプリンターズステークスを迎えるメイケイエールだが、3歳時は真面目すぎる気性ゆえにレースで“暴走”を繰り返していた。しかし、池添謙一騎手とのコンビ結成をきっかけに成績が安定。5月の京王杯スプリングカップでの勝利を目にして、山本さんは「写真集が出せる」という手応えをつかんだ。
「YouTubeのレース動画を見ても、他の馬に比べてメイケイエールの動画は圧倒的に再生回数が多かったんです。とはいえ、まさかこれほどの人気だとは……。写真集の告知用Twitterのフォロワー数も当初は1000人を目標にしていましたが、開設から数日で6000人(9月30日時点で約8800人)を超えました」