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《Moto2》連勝なるか? 日本GPで会心の大逆転勝利を挙げた小椋藍がタイGPで迎える、チャンピオン争いの正念場

posted2022/09/30 11:01

 
《Moto2》連勝なるか? 日本GPで会心の大逆転勝利を挙げた小椋藍がタイGPで迎える、チャンピオン争いの正念場<Number Web> photograph by Satoshi Endo

3年ぶりの母国GPで見事な勝利を遂げ、表彰台で喜びを露わにする小椋。タイGPで連勝すれば王座はぐっと近づく

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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Satoshi Endo

 アラゴン、日本に続き、3連戦最後となる第17戦タイGPが9月30日に開幕する。日本GPに続いて、どうやら台風の影響を受けそうで、日本から移動してきた関係者を出迎えたのは連日の雨だった。

 地元の人たちに今週の天候を予想してもらえば、台風は通過しても、基本的に雨季なので、降ったり止んだりという天候に変わりはないとのこと。いずれにしても、日本GP同様3年ぶりの開催ということで今大会を予想するのは非常に難しいが、Moto2クラスでチャンピオンの期待が大きい小椋藍がどんな戦いをするのかについては、誰もが注目するところだろう。

 前回のコラムでも書いたが、シーズン終盤に小椋がチャンピオン争いを有利に進めるには、「日本GP&タイGPで優勝、もしくはタイトルを争うアウグスト・フェルナンデスに先着すること」が必要だった。その日本GPでは小椋が優勝し、フェルナンデスが2位。この結果、フェルナンデスの首位は変わらずも、ポイント差が7から2へ縮まった。タイGPで小椋が連勝、もしくはフェルナンデスに先着して逆転すれば、タイトル獲得の期待はさらに高まることになる。

 なぜなら、タイGP以降の戦いとなる第18戦オーストラリアGP、第19戦マレーシアGPはほぼ互角の戦い、最終戦となる第20戦バレンシアGPはフェルナンデスが有利か、というのが僕の予想だからだ。タイGPで逆転しポイントを引き離せれば、小椋のチャンピオンの可能性はぐっと高まる。つまりタイGPは、二人のチャンピオン争いを左右する一戦になるはずだ。

予選13番手から勝利した日本GP

 日本GPはアラゴンGPからの輸送の遅れが予想されたため、金曜日午前中の走行がなくなる変則的なスケジュールとなり、土曜日は台風の影響で1日中ウエットコンディションになった。台風一過の日曜日は快晴と目まぐるしくコンディションは変わったが、地元ファンの大応援の中で、自分のライディングと相性のいいモビリティリゾートもてぎでしっかりと自分の走りをした小椋は、予選13番手から素晴らしい追い上げを見せた。

 日本GPで日本人選手が優勝したのは、現在ホンダチームアジアの監督を務める青山博一が2006年に優勝して以来、16年ぶりの快挙。青山博一監督は「自分が勝ったときよりもうれしかった」と嬉し涙を浮かべたが、このとき、優勝した小椋の目に涙はなかった。というか、彼の嬉し涙を見ることはできなかったのだが、ちょっとだけ涙がこぼれたんじゃないかなと思う瞬間があった。

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小椋藍
アウグスト・フェルナンデス

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