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「レオタードがルールで決められている以上、刑事事件化は難しい」競技団体が苦慮する“性的画像”対策「観客席からの撮影を禁止したケースも」
text by
鎌田理沙(共同通信)Risa Kamata
photograph byGetty Images
posted2022/09/25 11:04
各競技団体に女子選手への“性的画像”被害について取材し、浮かび上がってきた被害の実態とは…
サイト運営会社に削除要請することも
▼バレーボール(Vリーグ)
15年ごろ、リーグ公式サイト内に「V.LEAGUEを観戦いただく皆さまへ」と題したページを開設。
「(7)試合運営の妨げにならないようご協力をお願いします」とした項目の中、12番目に「盗撮などの迷惑行為」を盛り込み、呼びかけを続けている。一般客による撮影の全面的な禁止はしていない。
隠し撮り被害は、女性選手の胸やお尻をアップして撮影するのが一番多いケース。画像や動画がSNSや動画配信サイトのYouTubeなどにかなりの数が上がっていることを確認しており、サイト運営会社に削除要請をするなどしている。
「性的な画像」という表現
こうした周辺取材と並行しながら田村デスクや益吉記者を中心にJOC側にも裏付け取材を続けた。そして試行錯誤を重ねながら、複数のルートから「裏取り」に成功し、アスリートへの迷惑撮影、ネットでの画像拡散の問題にJOCが対策に乗り出すと記事の具体的なリード(書き出し部分)が決まった。しかし執筆を始めてもなお、「盗撮」に代わるいい言葉はなかなか見つからなかった。
「迷惑撮影」だと実態がぼんやりしすぎているし、「撮影ハラスメント」は漠然としている上に文字数が多い......。
東京都港区汐留の共同通信本社19階、運動部のフロアで悩む品川と鎌田に、田村デスクが「これってどう?」と声をかけた。
かつて女性と性的な関係を持ったときの写真をばらまくと脅迫した疑いで、逮捕された事件の記事。その画像のことを「性的な画像」と表現していた。これなら分かりやすいし、下着を写すような露骨な盗撮だけじゃない写真や動画も指すことができる。
「アスリートの性的画像問題」へJOCが対策へ乗り出す。田村デスクの提案で、記事は固まった。こうして第一報が世の中に出ることになった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。