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「白のユニホームは狙われやすいと聞いていたのですが…」ある女子陸上選手が吐露した“性的画像”被害への思い「最近は無観客なので、集中できる」 

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鎌田理沙(共同通信)

鎌田理沙(共同通信)Risa Kamata

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photograph byGetty Images

posted2022/09/25 11:02

「白のユニホームは狙われやすいと聞いていたのですが…」ある女子陸上選手が吐露した“性的画像”被害への思い「最近は無観客なので、集中できる」<Number Web> photograph by Getty Images

共同通信の報道により世間に広く問題として認識された“性的画像”の被害。その端緒となったのは記者の経験と女子選手の証言だった

 当時の学生新聞は、メディアとしての取材申請が通らなかった大会では、チケットを買って一般客としてスタンドから写真撮影をすることがあり、その日もその方法で会場入りしていた。陸上の大会の場合、撮影自体は許可されていることが多いが、撮影可能なエリアが決められていた。

 部員が取材をしていると対外的に分かってもらうために、新聞部の腕章を着けることもあったが、撮影していたときは着けていなかった。首から提げる大会公認のメディアパスもなく、ファンと横並びになって、望遠の白レンズを構える私服の若者となると、傍から見たら学生記者とは分からない。係員からすると、熱心に女性の跳躍種目をファインダー越しに覗いている、怪しい男性に見えたのだろう。

「確認するのはいいんだけど、おれ、盗撮しているように見られたのがショックなんだけど」

 彼は普段から真面目で、盗撮のような不誠実なことをする人ではなかった。「いや、本当にショック」と、ぶつぶつ独り言を言う同期がそのときは面白く見えた。たしかに、あなたは不審者に見えますと言われているようなものだよなあと思いつつ、「まあそんなことないよ」と軽く返事をした。

隠し撮り、よくあるんですよ

 トラックシーズンも折り返しを迎えた17年6月、体育会陸上部の女性選手を招いて、対談取材を企画した。男性部員が圧倒的に多い同部において、女性だけの取材をするのは初めてだった。仲のいい選手同士、同じ種目を専門とするライバルなど、話が盛り上がりそうな組み合わせで、複数組にインタビューをさせてもらった。

 その一つに、A選手と同期の選手で組んでもらった「跳躍ペア対談」があった。取材は同期の女性が担当し、2人の人当たりの良さもあり、終始和気あいあいと進んだ。

 私は同時進行されるそれぞれのインタビューを見ながら時間配分などを管理する役で、その合間にも盛り上がっている話が聞こえてきた。

 インタビューが終わり、対面に座った取材者と選手が雑談をしていた。

「隠し撮り、よくあるんですよ。本当にむかつきます!」

 もしかして、このまえ同期の男性が勘違いされた盗撮の話?

 雑談している学生のほうを見てみると、話していたA選手の横で、同期の選手もうんうんと何度も頷いていた。跳躍しているときに露出度が多めの競技用ユニホーム姿の写真を勝手に撮られて、気味が悪いのだという。

競技に集中したいのに、ほんと迷惑です

 そういえば、と思い返すと、会場は撮影エリアが限定されているほかにも、盗撮被害への注意喚起がチラシやオーロラビジョンで呼びかけられていた。大画面に映し出された「陸上が、好きだ。だから私は、迷惑撮影を許さない。」とのキャッチコピーは覚えている。

【次ページ】 コロナ禍で取材ができるスポーツの現場はほぼ消滅

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