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ダルビッシュ36歳「MLB屈指の奪三振マシン+安定感」の円熟… 日米200勝と“黒田博樹や野茂英雄らが未到の大記録”も見てみたい

posted2022/09/21 11:04

 
ダルビッシュ36歳「MLB屈指の奪三振マシン+安定感」の円熟… 日米200勝と“黒田博樹や野茂英雄らが未到の大記録”も見てみたい<Number Web> photograph by Harry How/Getty Images

ダルビッシュは36歳の今も変幻自在の変化球、威力満点の直球でメジャーの強打者相手に奪三振を量産している

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 この秋、MLBでローテーションを維持している日本人投手は、エンゼルス大谷翔平とパドレスのダルビッシュ有だけになった。

 春にはブルージェイズの菊池雄星が先発で投げていた。レンジャーズ有原航平はマイナースタート。ツインズ前田健太はリハビリ中。そしてレッドソックス澤村拓一は中継ぎで投げていた。しかし9月末の今、菊池は救援に回り、8月にメジャーに昇格した有原は事実上の戦力外となりマイナーへ降格。澤村も自由契約となった。前田はリハビリ続行中だ。

 MLBでマウンドを維持するのは本当に難しい。そんな中で、ダルビッシュ有は2012年から先発投手として投げ続けてきた。

 途中、2014年8月に右肘炎症で離脱し、翌年3月に右肘内側側副靱帯の損傷が明らかになりトミー・ジョン手術を受ける。2年近いブランクを経て2016年5月28日に復帰、以後も故障を抱えつつもレンジャーズ、ドジャース、カブス、パドレスで投げ続けた。そして今季は10年ぶりとなる15勝をマーク。さらに自身初となる9月12~18日の週間MVPにも選出された。

ここ10年での奪三振数はMLB6位、日本人通算勝利数は…

 ダルビッシュはMLBで240試合、一度もリリーフに回ることなく真新しいマウンドに立ち続けた。

 2012年以降のMLB投手の通算勝ち星は、マックス・シャーザーの164勝が1位、2年近いブランクがあるダルビッシュは94勝で19位タイだが(田中将大は78勝で37位)、奪三振数では1774で6位につけている。投球回数は1476回、投球回を大きく上回る三振を奪っている。ダルビッシュはMLBを代表するパワーピッチャーなのだ。

 日本人MLB投手としても偉大な数字を積み上げている。

<NPBを起点とする投手の日米通算勝利数10傑>※9月19日時点
黒田博樹・203(MLB79勝NPB124勝)
野茂英雄・201(MLB123勝NPB78勝)
田中将大・190(MLB78勝NPB112勝)
ダルビッシュ有・187(MLB94勝NPB93勝)
石井一久・182(MLB39勝NPB143勝)
岩隈久志・170(MLB63勝NPB107勝)
松坂大輔・170(MLB56勝NPB114勝)
前田健太・156(MLB59勝NPB97勝)
上原浩治・134(MLB22勝NPB112勝)
吉井理人・121(MLB32勝NPB89勝)

 日米通算での200勝は黒田、野茂の2人。続いて楽天に帰ってきた田中、ダルビッシュは4番目だがMLBでの勝ち星は野茂英雄に続いて2位、あと6勝で100勝の大台だ。現時点ではNPBでも93の勝ち星を挙げている。

 来季に日米通算200勝に到達する可能性は大いにあるだろう。ちなみに大谷翔平は68(MLB26勝NPB42勝)で14位だ。

【次ページ】 2020年の最多勝が短縮シーズンでも価値が高いワケ

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