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ダルビッシュ36歳「MLB屈指の奪三振マシン+安定感」の円熟… 日米200勝と“黒田博樹や野茂英雄らが未到の大記録”も見てみたい 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHarry How/Getty Images

posted2022/09/21 11:04

ダルビッシュ36歳「MLB屈指の奪三振マシン+安定感」の円熟… 日米200勝と“黒田博樹や野茂英雄らが未到の大記録”も見てみたい<Number Web> photograph by Harry How/Getty Images

ダルビッシュは36歳の今も変幻自在の変化球、威力満点の直球でメジャーの強打者相手に奪三振を量産している

 もう一つ、投手の安定感を示すK/BB(奪三振数÷与四球数)でも、ダルビッシュは5.23(183奪三振35与四球)でリーグ2位、重要な指標でいいところにつけている。

数字から見えてくるダルビッシュの「円熟と風格」

 数字から見えるのは、ダルビッシュの「円熟味」だろう。

 36歳になったダルビッシュは20代のような打者を力でねじ伏せる投球は徐々にできなくなってきてはいるが、経験値の高さと近年、鋭さを増したカットボール、スライダー、シンカーなどの多彩な球種を駆使してアウトを取り、イニングを重ねているのだ。

 そのマウンドさばきは悠然として風格が漂っている。

 新たに侍ジャパンを率いることになった栗山英樹監督が今夏、ダルビッシュに会いに行った。用件は一つ。来年3月に予定されている第5回WBCへの参戦依頼だろう。

 これに対して、ダルビッシュは即答しなかった。

 2017年以来6年ぶりに開催されるWBCだが、今回のアメリカの意気込みは半端ではないと言われる。すでにエンゼルスのマイク・トラウト、フィリーズのブライス・ハーパー、カージナルスのノーラン・アレナド、ポール・ゴールドシュミットなど錚々たるスター選手が参戦を表明している。

 今回は、MLB球団も所属選手の参戦に理解を示しているから、ドミニカ共和国やベネズエラなどMLBに多くの選手を輩出している国も一線級を揃えてくるだろう。

 日本もすでに大谷翔平が参戦を表明、東京五輪を超えるベストメンバーをそろえることになるだろうが、史上最強と言われるMLB対策を考えればダルビッシュの経験が必要だと言うことだろう。

 しかし、開幕前の3月という微妙な時期に、エース級の投手が出力全開するのは極めてリスキーだ。MLBも野手はトップクラスが出場するだろうが、投手はクレイトン・カーショウやマックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダーなどの大御所級の投手は出場しないか、出るとしても2017年に設けられた「予備投手登録」に留まるのではないか。

 WBCは20代の若手投手が比較的短いイニングをつなぐ戦法がメインになると思われる。ダルビッシュも「予備投手登録」ができうる限りの貢献ではないか。

ダルに達成してほしい「前人未到の日米記録」とは

 ダルビッシュ有は来年、6年1.26億ドル(現在のレートで約176億4000万円)の大型契約の最終年を迎える。以前「次の契約はしない」と言っていたが、今の心境はどうなのだろうか?

 いずれにせよ契約最終年に、今年同様の充実した成績を残すことを願いたい。さらにはNPB出身日本人投手2人目のMLB100勝、3人目の日米通算200勝を達成してほしい。

【次ページ】 ダルに達成してほしい「前人未到の日米記録」とは

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