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織田裕二のラスト『世界陸上』をモノマネ芸人・山本高広はどう見たか? 「最後の“地球に生まれてよかったぁー!”にはシビれました」 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byWataru Sato

posted2022/09/16 11:00

織田裕二のラスト『世界陸上』をモノマネ芸人・山本高広はどう見たか? 「最後の“地球に生まれてよかったぁー!”にはシビれました」<Number Web> photograph by Wataru Sato

今年、世界陸上のメインキャスターを卒業することとなった織田裕二さん…のモノマネをする山本高広さん。山本さんに話を聞くと…

山本 関根勤さんや石橋貴明さんがドハマりしてくれたんですよ。「たしかに織田くん、言ってた!」って。『細かすぎて』のオーディションは第7次審査まであって、2次審査まではフジテレビの軽部真一アナウンサーのマネをしていたんです。そこでスタッフから「もし他にもネタがあれば、とりあえず見せてください」と伝えられて。3次審査で織田さんのネタを12個くらい持って行きました。当時は世界陸上開催中で、スタッフも「タイムリーでいいね」となって。織田さんネタのおかげで、初出場で決勝戦に進出できたんです。

――織田さんは1997年大会から世界陸上のMCとなりました。山本さんは大会期間中、ずっと録画して見ているんですか?

山本 僕の中では、2年に一度のお祭りですからね。失礼ながら最初の頃は、競技ではなく織田さんにしか興味がありませんでした。それまでのスポーツ番組のMCではあり得ないような発言がどんどん飛び出すので。織田さんはとにかく熱心に取材して、陸上を勉強しているからこそ、感情が爆発して「何やってんだよ、タメ!」とか、印象的なフレーズが出てくる。1500m走を「センゴ」、為末大選手を「タメ」、末続慎吾選手を「スエ」、サニブラウン・アブデル・ハキーム選手を「サニ」って、何でも略しちゃうのも特徴ですよね。あまり知られていませんけど、「メインディッシュ」という言葉も隠れた織田さんの世界陸上ワードなんです。今年の大会でも、次の競技の中継に移るときに「この後は、メインディッシュです」と言っていましたからね。そんな織田さんの熱さに触発されて、僕の大会の見方も変わってきて。

織田さんに紹介されると気になってくる

――陸上にも興味を持つようになった?

山本 そうなんです。織田さんの熱い語り口を聞くと、僕みたいな陸上の素人でも入りやすいんですよね。選手の特徴や背景を前のめりで伝えてくれるから、自然と応援したくなる。日本人選手ならば、2000年代前半は室伏広治さんの全盛期でしたし、最近では、田中希実選手。どんな結果でもお辞儀をしてからトラックを去る姿を見ると、人間性に惹かれますよね。外国人選手でも、それまで知らなかったのに、織田さんに紹介されると気になってくる。棒高跳びの(エレーナ・)イシンバエワ選手も好きになりましたし、織田さんイチオシのジャマイカ選手が登場すると「キター!」って、注目しちゃいます。僕に限らず、織田さんをきっかけにして陸上を見ることが好きになった視聴者はたくさんいると思いますね。

――今年の大会で織田さんと中井美穂さんが世界陸上のMCを卒業すると知ったときは、どんな気持ちでしたか。

山本 そりゃ寂しいですよ。本音を言えば、2025年の東京大会まで続けてほしかった。でも、25年間って、ものすごく長い時間ですからね。織田さんと中井さんが自分で決めたことですから、僕らも受け入れるしかない。だからこそ、最後の最後に織田さんがあの言葉を言ったときは、僕の方が「地球に生まれてよかったぁー!」と思いましたよ。まだ織田さん本人にお会いしたことはないので、その真意はわからないんですけどね。

(「ものまね芸人としての原点&ご本人とのやりとり編」に続く)

#2に続く
「『モノマネやって大丈夫ですか?』と今でも聞かれます」山本高広が答えた“本人公認問題”「織田裕二さんにお会いできたら伝えたいのは…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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