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涼しい顔してるけど…実はスゴい高橋藍のレシーブが“世界8強”に絶対必要な理由〈20歳ラストの試合で見せた“嫌な動き”とは?〉
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byItaru Chiba
posted2022/09/02 11:01
9月2日に21歳の誕生日を迎えた高橋藍(日体大)。イタリアで磨きをかけた守備力を世界選手権の舞台でも発揮している
「最初はこの選手がカッコいいとか、このプレーが面白いとか、どんなきっかけでもいいから、僕らはバレーボールを見てほしいし、面白い、もっと見てみたいと思われるスポーツでありたいと思うんです。だから僕も、見ている方が望んでいるだろうな、と思えばどんどんフェイクセットもするし、それがうまく決まって喜んでくれたり、会場が盛り上がると、めちゃくちゃ気持ちいいですね」
世界選手権でも同様だ。カタール戦、キューバ戦でも鮮やかなフェイクセットを披露し、時にはやや短いボールを上げようとする少々強引な場面もないわけではなかったが、できる、と思えば積極的にセレクトする。コートの外でも中でも、高橋は常に前向きだ。
「この世界で戦う以上、ネガティブだとやっていけない、って思うんです。うまく行かない時や、圧倒される試合もあるし、あと1点が獲り切れずに負けることもある。でも、そこで落ち込んでいるばかりでなく、乗り越えないといけない壁だと考えてチャレンジすれば次につながる。もっと強くなれるんじゃないかな、って思うんです」
インスタグラムで109万人のフォロワーを持つ高橋の人気は日本のみに留まらず、タイやフィリピン、インドネシアなどアジア圏でも絶大だ。過度な注目や過剰な人気が集まれば「自分はまだそこまでの選手ではない」と謙遜する選手も少なくない。だが、高橋は全面的に前へ出る。むしろその声援や期待を「嬉しい」と喜び「世界でも日本のバレー、日本という国を愛してもらえるようになれば」と思いを馳せる。
4年前の世界選手権は、まだ高校生だった
2018年、イタリアで行われた世界選手権で日本代表は1次リーグ敗退を喫した。そして高橋は当時東山高に通う高校生で、世界を見るよりも日本一になることが現実的な目標だった。
あれから4年。今は日本代表として、堂々、世界の舞台に立つ選手になった。
「(当時)大まかに思い描いていたよりも上を行けているのかな、とは思います。でもまだまだ自分自身も成長段階なのでこれで満足はできないですし、ここからさらに、思い描くより上に行けるように、上に行けていると思える部分を活かしながら。まずは世界選手権で頑張ります」
21歳で迎える初戦は9月5日(日本時間6日4時)、ベスト8進出をかけて強豪フランスと対戦する。
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