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『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』“ネガティブ”で“弱い”メダリスト、古澤拓也の苦く幸福な人生。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph bySports Graphic Number
posted2022/08/20 07:00
『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』古澤拓也著 小学館 1540円
3年前、Bリーガーとの対談企画で古澤拓也を取材したことがある。10代のころから将来を嘱望され、キャプテンを務めたU23世界選手権では4位入賞。そのような輝かしい活躍にも関わらず、ツーブロックの茶髪を小綺麗にセットした青年は、終始ていねいかつ穏やかに取材に応対し、合間には抹茶スイーツの食べ歩きが趣味だと、少し照れくさそうに話してくれた。
本書は、車いすバスケットボール男子日本代表として東京パラリンピック銀メダルに輝いた古澤が、出生から東京パラまでの道のりを振り返った自伝。自身の障がいのことや競技のことはもちろん、豪腕強打の野球少年としてならした小学生時代のこと、競技と学業を両立させるための試行錯誤などのエピソードが綴られている。