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大谷翔平「今のウチはきつい」ホームラン後も笑顔はなく…番記者が見た“終戦”エンゼルスでの葛藤「プレーを楽しんでいるようには到底…」
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph byGetty Images
posted2022/08/09 17:04
主力3人を放出し、事実上の“終戦”を迎えたエンゼルス。投打に孤軍奮闘する大谷翔平は、どんな思いでプレーを続けているのか
「どんな状況でも、100球ぐらいいかないと今のウチはきつい」「今のウチには重い2点だった」
常に「失点ゼロ」を意識する投球を強いられる。
試合中に大谷の笑顔を見る機会が少なくなった。
豪快なホームランを放っても、口を真一文字に結んでベンチに戻る。カウボーイハットをかぶった大谷が、厳しい顔つきで同僚にハイタッチする姿は、「セレブレーション」とは言えない光景だ。
エンゼルスでのプレーを楽しんでいるようには見えない
8月2日のトレード期限を過ぎた午後4時過ぎ。エンゼルスのペリー・ミナシアンGMが会見を開いた。約2カ月前の、ジョー・マドン監督解任の会見と同じように、忸怩たる思いを強調した。
当然、大谷の話題が出た。トレード報道の主役は、放出された3人ではなく、大谷だった。チーム側に大谷を出す意欲や動きは見られなかったが、それでも、騒ぎの中心にいた。
完全な「売り手」に回ったチームにあって、本当の意味での再建の切り札は大谷しかなかったからだ。
だが、大方の予想通り、大谷は残った。この先、どんな未来が待っているかは不透明だが、エンゼルス側は大谷との別れを望んでいない。「100年に1人」の存在で、お金を生み、人を呼ぶ。そんな選手を簡単に手放すとも思えない。
GMは「どんな交渉事も詳細は言えない」とした上で、大谷について「我々は翔平のことが大好きだし、彼もここでのプレーを楽しんでいる」と語った。
ただ、今、大谷がエンゼルスでのプレーを楽しんでいるようには到底、見えない。
5月中旬、エンゼルスが絶好調だった時、「今エンゼルスにきて一番楽しいか」と問われた大谷は言った。
「そうですね、勝つに越したことはない。チームが勝てば気持ちがいい」
チームが本気で変わらなければ、その姿勢を見せなければ、大谷がロッカーの整理をする日が来ても不思議ではない。
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