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大谷翔平「今のウチはきつい」ホームラン後も笑顔はなく…番記者が見た“終戦”エンゼルスでの葛藤「プレーを楽しんでいるようには到底…」 

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阿部太郎

阿部太郎Taro Abe

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posted2022/08/09 17:04

大谷翔平「今のウチはきつい」ホームラン後も笑顔はなく…番記者が見た“終戦”エンゼルスでの葛藤「プレーを楽しんでいるようには到底…」<Number Web> photograph by Getty Images

主力3人を放出し、事実上の“終戦”を迎えたエンゼルス。投打に孤軍奮闘する大谷翔平は、どんな思いでプレーを続けているのか

 初回からとにかく「ゼロで抑えたい」。そのためには、今季何度も強力打線を手玉に取った、信頼を寄せる球を投げる選択肢しかなかったのかもしれない。

 最近はこの配球が顕著になっている。その理由を、「1点を争う中で、一番効果的な球。何がいいのかというのをチョイスして投げた」と言った。

 間違いなく、覇気がない打線が投手・大谷を窮屈にしている。「3点取られたら勝つチャンスがない。先制点を取られたら厳しい」。後半戦は特に、何か重いものを背負い、苦しさが漂う。たった1人、チームの雰囲気に抗うように、勝利を求めているようにも映る。

「ヒリヒリした9月」を渇望していた大谷にとって、現状は受け入れ難いのだろう。主力3人を放出したチーム。何の抵抗もなく、負けを重ねるチームは、大谷の心をどんなふうに揺さぶっているのだろうか。

 3日の試合後、大谷はオブラートに包むことなく、正直な心境を吐露した。

「トレードで売り手に回るとはそういうこと。チーム的にも士気高くやっていけていない。ポストシーズンにつながる可能性が低いというのは、選手からしたら厳しい」

 前向きな発言が多い大谷が、少し苦しさを表現したのは驚きだった。切なさすら感じたのは、自分1人ではなかっただろう。

ホームランを放っても顔つきは厳しいまま

 7月22日、オールスターでの登板を回避して、体調を万全にして臨んだブレーブスとの後半戦初戦。「いい流れになるきっかけをつくる試合を」と意気込んだ敵地アトランタでの敗戦から、言葉の端々に現状の厳しさを感じさせた。

 その日は、試合前に悪天候で約1時間の遅延があったが、大谷の気迫はそがれなかった。6回まで今季一、二を争う投球を披露した。昨季のワールドチャンピオンがそこまで手も足も出なかったが、7回に暗転した。先頭の四球をきっかけに、過去の対戦成績でほとんど打たれていなかったマット・オルソンに手痛い先制2ランを浴びた。そこから、一気に相手の勢いに飲まれた。6失点KO。

 試合後、「今のウチ(エンゼルス)は……」という言葉を2度も使った。

【次ページ】 エンゼルスでのプレーを楽しんでいるようには見えない

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