「自分を押し殺した」はじまりは“長嶋茂雄ものまね”

――荒川さんはシュートの実力にも定評がありましたし、まさに神奈月さんは“ものまね界”のドン荒川ですね（笑）。でも、神奈月さんはマニアックなものまねで知られてますけど、もともとは長嶋茂雄さんのものまねで世に出たところがあったんですよね？

神奈月　ものまね番組に出始めるきっかけとなったのが、長嶋さんのものまねだったんですよ。ちょうど読売巨人軍が長嶋政権の時代で、日テレの番組だったこともあって、そのシーズンにあった話題をちりばめながら長嶋さんのものまねで毎回出させてもらって。

――でも、長嶋さんのものまねってベタ中のベタですよね。

神奈月　そうなんですよ。でも、それはしょうがないですね。ものまね番組はゴールデンタイムの放送だし。いまはマニアックなネタでもみんな笑ってくれますけど、当時は誰もが知っている人をやらなきゃいけなかった。僕もテレビには出たいので、そこはちょっと自分を押し殺したところはありましたね。

――長嶋さんという最もベタなものまねで有名になった神奈月さんが、誰もやらないようなものまねの第一人者になったのがすごいと思います。

神奈月　それは深夜枠の番組で、2カ月に1回くらいのペースで“お試しネタ”を披露する企画があったんですよ。その時、武藤敬司さんや萩原流行さん、新庄剛志さんといった他の人がやらないものまねを披露して、マニアックなものはそこから生まれていったんです。

――神奈月さんの真の才能が深夜に花開いたんですね。

神奈月　ああいうマニアックなネタって深夜族にはたまらなかったみたいで（笑）。あと僕自身、ゴールデンでは毎回、長嶋監督のものまねが求められて、「もっと他にもあるのに……」っていう思いのマグマが溜まっていて、そこで爆発したんでしょうね。ホントにどんどん出てきましたから。

「だから、ほとんどが想像ですよね」

――神奈月さんはスポーツ選手のものまねレパートリーもたくさんありますけど、あれは難しいですよね。歌手やタレントさんは声やしゃべり方を真似すればいいけれど、スポーツ選手は基本的に試合中しゃべったりしないじゃないですか。

神奈月　だから、ほとんどが想像ですよね。「この人だったらこういうことを言うんじゃないか」っていう。新庄さんだって最初にメジャーリーグに行く時の会見を観たイメージから、バックに「♪咲いた、咲いた、チューリップの花が～」っていう童謡をかけながら、「ぼくのぉ～、バッティングは～」みたいなことを想像で言うっていう（笑）。

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