酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「村上宗隆22歳の5打席連続本塁打」「佐々木朗希20歳の19K完全試合」が同じ年に… “破天荒な大記録が吹き飛ばすもの”とは
posted2022/08/03 17:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS/Hideki Sugiyama
移動中にNumberWebの編集者氏から「村上宗隆が4打席連続本塁打を打ちました。まさかとは思いますが……」という連絡をもらって、NPBの速報を見た。1回裏、村上は中日柳の4球目を叩いて右翼にソロ本塁打を放った。村上は7月31日、甲子園の阪神戦の7回から3打席連続本塁打しているから4打席連続である。
でも筆者は「これでおしまいだ。連続本塁打は4打席が限界なんだから」と高を括っていた。ところがわずか十数分後に村上はあっさりと「5打席連続」を達成してしまった。破天荒としか言いようがない。
ライト方向へ2本、レフト方向へ3本の衝撃
<村上の5打席連続本塁打>
★7月31日 阪神16回戦(甲子園)
7回表 無死走者なし 渡邉雄大の1ボール2ストライクからの4球目を左翼に本塁打 打点1
9回表 1死走者なし 岩崎優の初球を右翼に本塁打 打点1
11回表 2死一塁 石井大智の2ボール0ストライクからの3球目を左翼に本塁打 打点2(決勝)
★8月2日 中日14回戦(神宮)
1回裏 2死走者なし 柳裕也の2ボール1ストライクからの4球目を右翼に本塁打 打点1
3回裏 1死一塁 柳裕也の3ボール2ストライクからの6球目を左中間に本塁打 打点2
右に左に打ち分けて、スタンドインさせているのもすごいことだ。村上は続く6回裏にも3ボール2ストライクから左翼線に二塁打を打っている。
この記録だけを見れば、いとも簡単に達成したように見えるが、5打席連続本塁打は1936年以来86年の歴史を誇るNPBでは過去に誰も達成していない。
それどころか、1871年のナショナル・リーグの開設以来、151年の長い歴史を持つMLBでも5打席連続本塁打は皆無なのだ。
公認野球規則9.23には「(a)連続安打の記録は、四球、死球、打撃または走塁妨害、および犠牲バントによって中断されない。しかし、犠牲フライはその記録を中断する要素となる」とあり、四死球を挟む「連続打数本塁打」がレコードブックに載る。
過去の「4打数連続本塁打」はどんな面々だったか
4打数連続本塁打は過去に20人が21回記録している。選手の頭に△が付くのは四死球を挟む記録である。