酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「村上宗隆22歳の5打席連続本塁打」「佐々木朗希20歳の19K完全試合」が同じ年に… “破天荒な大記録が吹き飛ばすもの”とは
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS/Hideki Sugiyama
posted2022/08/03 17:02
球史に残る5打席連続ホームラン。村上宗隆は佐々木朗希の完全試合につづく破天荒な大記録を達成した
21世紀以降では、4打数連続本塁打は4例しかなかった。そのうち3例がヤクルトの打者で、村上はそれに続いた。また村上は22歳6カ月で達成したが、4打数連続以上では1974年の近鉄、羽田耕一の20歳10カ月に次ぐ若さだ。
もはや“村神様”の活躍は人知の及ぶところでは……
MLBでも連続打数本塁打は「4」が最高とされる。最近では2017年9月4日に、ダイヤモンドバックスのJ.D.マルティネス(現レッドソックス)がドジャース戦で4打席連続本塁打を記録している。
マイナーでは1902年6月15日にカナダ出身の捕手ジェイ・クラークが8打席連続本塁打を記録している。しかしこれは小さな地方球場での記録であり、ランニングホームランも含まれているのではないかと言われている。クラークはのちにメジャーに昇格。野球史上で初めてシン・ガード(脛当て)を付けた選手との説もある。
スポーツメディアは村上が4打席連続本塁打を達成した時点で、一斉に「NPBタイ記録」。「4打数連続は史上21人目(4打席では14人目)」といった記事を発信し始めた。筆者だけでなく、記者やジャーナリストの誰もが「5打席連続」なんてありえない、という先入観を持っていたのだろう。それを吹き飛ばしてしまった。
こうなると――もはや村神様の活躍は、人知の及ぶところではないのかもしれない。
他球団の投手にしてみれば「村神様、どうか怒りをお鎮めください」と祈りたい心境ではないか。
佐々木朗希の完全試合に続く大記録となった
2022年は20歳の投手・佐々木朗希が28年ぶりの完全試合を19奪三振というNPBタイ記録、史上初の13者連続奪三振のおまけつきで達成した。そのうえパーフェクトは次の登板を含めて8イニングも続いた。そして22歳のスラッガーが、日本でもアメリカでも誰も達成できなかった5打席連続本塁打を記録した。
今年のプロ野球は、どこかおかしい、何かが違うような気がする。筆者は今後、何があっても驚くまいと思っている。
<達川光男氏や村上の父が語る「村上宗隆のすごさ」につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。