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「日本のバスケットは、世界で通用します」いきなりドイツでMVPに選ばれた女子バスケ・安間志織が海外で実感した日本人の「強み」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byEisvögel USC Freiburg
posted2022/08/02 17:02
ドイツリーグに飛び込んで1年目でチームを優勝させ、見事にMVPにも選ばれた安間志織
「みんな、私が1年でいなくなるのは分かってたと思います。私が離れることになり、“I will miss you.”と言ってくれたり、『来年もいてくれたっていいんだからね』と言ってくれる子もいたり。同じポジションの子は、『シオリから学ぶことが多かったし、本当に一緒にこのシーズンを過ごせて良かった。ありがとう』と言ってくれました。みんな、英語を話せない私についてきてくれたし、私だって、彼女たちと『いい時間』を過ごすことが出来たから感謝です。ドイツに行った時は、日本人としてインパクトを与えたいと思っていたんですが、最終的にはチームに入れ込んじゃってましたね(笑)」
イタリアから届いた来季のオファー
ヨーロッパは陸続き。ドイツでの活躍は、各国のリーグ関係者に情報がすぐに伝わる。ドイツでMVPを獲得した安間は、来季のオファーを受けた。
イタリアのヴェネツィアからである。
2021-2022年のシーズン、セリエA1のレギュラーシーズンでは2位に入った強豪だ。
「イタリアのリーグはレベルがグッと上がりますし、ユーロリーグやユーロカップでプレーするチャンスも増えます。それに、ウクライナ情勢も関係してきて、これまではアメリカのWNBAで活躍した選手がロシアのリーグでプレーしていたんですが、それが出来なくなり、レベルの高い選手たちが続々とイタリアにやってきます。そうなると、より英語が課題になるでしょうね。ドイツではなんとかなりましたが、レベルが高くなる分、コーチが考えていることを私がしっかりと理解して、ガードとして指示を出さなければいけないケースが増えるはずです」
「日本のバスケットは、世界で通じます」
ドイツでインパクトを与えたことがイタリアへとつながったが、いま、安間は9月にオーストラリアで開幕する女子ワールドカップの代表入りを目指し、日本代表の第四次合宿に参加している。
「いまは、W杯のメンバーに入ることにフォーカスしています。日本でバスケットをやると、めっちゃ楽しいです。海外では個人が基本ですけど、日本だとお互いがやりたいことを理解して、すぐに対応してくれます。日本は小さい分、チームで守らなければならないけれど、一人ひとりがフロアバランスを考えてプレー出来る。誰かがオフェンスで相手を崩せば、すぐに対応もしてくれる。とにかく気が利いてるんですよ、日本は」
海外でプレーすることで、いかに日本のWリーグが恵まれた環境なのかも理解できたという。