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三笘薫「周りに信用されないと」プレミア挑戦へ意欲満点な“ある行動” 地元メディアは「非常に、非常に楽しみな選手」〈現地取材〉
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byEddie Keogh/Getty Images
posted2022/07/26 17:04
ブライトンの一員としてプレシーズンを送る三笘薫。そのドリブルはプレミアの舞台で通用するか
ブライトンを率いる47歳のポッター監督は、対戦相手に応じて戦い方やフォーメーションを試合ごとに変える戦術家として知られる。三笘もブライトンのプレースタイルについて「相手のシステムに対応し、相手に対して(ブライトンが)有利になるサッカーをする。チームとして崩そうという意識が強いので、そこは素晴らしいチームだなと思っています」と期待を寄せていた。
また、ポッター監督は育成にも長けており、欧州でそこまで知名度の高くない選手の才能を一気に伸ばす手腕が高く評価されている。ポッター監督の下で揉まれていけば、三笘も大きく飛躍できるはずだ。
思い出したのは吉田麻也の“南野へのエール”
そんな三笘の話を聞いていて、思い出したことがあった。プレミアリーグのサウサンプトンで7年半にわたり戦い抜いた日本代表DF吉田麻也の言葉だ。
南野拓実がオーストリアのザルツブルクからリバプールに移籍した当初、吉田は次のように話していた。
「タクミは他の選手のスピード、テンポにまずはアジャスト(=適応)することが今一番、必要だと思います。それは単純に足の速さではなくて、プレーの判断、ボールスピード、プレス、状況判断のスピードだったり。本人が一番分かっていると思いますけど、日々練習していくなかで、どんどん、どんどん向上していくと思います。だから毎日必死だと思いますよ。こういうときが一番、選手として伸びるからね」
三笘が前半終了後に見せた“ある振る舞い”
今季は、シーズン途中の11月からカタールW杯を挟むという変則的な1年になる。「プレミアリーグ挑戦」と「カタールW杯」という2つのビッグイベントが待っている今シーズンは、三笘にとって間違いなく大きな、大きな1年になる。
ただ、25歳の日本代表FWはしっかりと自分の足元を見つめている。「自分は今の段階でW杯のレベルに到達していると思っていないので、この4カ月でより早く成長して、そこに持っていかないといけない。プレミアリーグに慣れることが最大の近道なので、そこを意識したいと思っています」と、ブライトンで切磋琢磨することが成長につながると力を込めていた。
そんな三笘にとって2試合目となった今回のプレシーズンマッチで、印象に残るシーンがあった。
前半を終えると、出場した選手たちが次々と選手通路に引き上げてきた。すると、ベンチに座っていた元イングランド代表MFのアダム・ララーナが、出場選手を握手で迎えた。この34歳のベテランMFに続いたのが三笘で、ハイタッチで出場した選手たちを激励していた。
まだイギリス英語に慣れていない中でも
15名からなるベンチスタートの選手の中で、出場メンバーを出迎えたのはこの2人だけ。偶然だったのかもしれないが、三笘が一刻も早くブライトンに溶け込もうとする姿勢が伝わってきた。三笘は「イギリス英語にまだ慣れていないので、英語は難しいですね」と語学にも取り組んでいると話していたが、こうしたコミュニケーションに前向きな姿勢はチームメートにもしっかりと伝わるものだ。
「自分の特長を分かってもらい、それを活かせるようになるには、周りに信用されないといけないかなと思っています」と三笘。イングランドへの適応に日々奮闘しながらも、新シーズンに向け目を輝かせていた。
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