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「最後の夏、涙も出なかった」巨人・岡本和真26歳の甲子園、まさかの初戦敗退。「悔いがあるとすれば、負けたことではなく…」 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2022/08/13 17:00

「最後の夏、涙も出なかった」巨人・岡本和真26歳の甲子園、まさかの初戦敗退。「悔いがあるとすれば、負けたことではなく…」<Number Web> photograph by KYODO

甲子園の初戦、明徳義塾戦でタイムリーヒットを放った智弁学園時代の岡本和真

悔いがあるとすれば、負けたことではなく…

 そこに1時間を超えるノックと、もちろん打撃練習もある。

「張り詰めた中でずっと3年間、そんな練習をやってきた。肉体的にも気持ち的にもかなり追い込まれたと思います」

 もし高校野球をやっていなければ、そんな経験は絶対にできなかったはずだった。練習では苦しかったことしか記憶にない。それでもそんな経験をしたことが、岡本にとってはその後の野球を楽しむ土台になったのだという。

「他の学校のことは分からないですけど、もちろんああいう張り詰めた中で厳しい練習をやっていると、学べることも一杯あります。でも一番は、試合が楽しいんですよ。それはずっといまでもそうなんです。試合をやるのが楽しくて仕方ない。だから試合になると、すごく集中できるようになるというのもあるかもしれません」

 あの夏、岡本に悔いがあるとすれば、負けたことではない。たった1試合でその楽しい試合が終わってしまったことだった。

「もうちょっとあの仲間とやりたかったな、という思いはありましたね。最後ですから。1年、2年のときに負けたのとは比較にならないくらいに、3年生が夏に負けるというのは大きい意味がある。もう高校生として試合ができないんですから」

 だから、だ。

 コロナ禍の中、夏の甲子園大会が中止となり、全国で代替の大会に臨む3年生球児たちにはこんなメッセージを送る。

「3年間の最後なので一緒にやってきた仲間たちと思いっきり楽しんでほしいと思います。甲子園大会は中止になったけど、それまで練習してきたことはムダにはならない。またどこかで必ずそれが生きるときがくる。いつか高校野球をやってきて良かったなと思うときが来るはずです。だからこの3年間がムダだったとは思わないで、最後の試合を楽しんで欲しいと思います」

 そんな思いで球児たちがグラウンドに立てれば、敗れても決して涙は出てこないはずである。

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