SCORE CARDBACK NUMBER
初勝利サインツJr.への祝福の中、苦い後味を残すフェラーリの作戦。
posted2022/07/20 07:00
text by
今宮雅子Masako Imamiya
photograph by
Getty Images
雨の予選で初めてのポールポジションを獲得したカルロス・サインツJr.がレースでも初勝利を飾った。2015年のF1デビュー以来150戦目のイギリスGP――ただし、150という数字を大袈裟に捉える必要はない。サインツが“勝てるマシン”を手にしたのは、今シーズンが初めてのことだから。
「このスポーツから何かを学んだとしたら、それは“信じ続ける”ということだった」と、喜びの中で語った。予選後とも異なる表情は、解放された晴れやかさに満ちていた。
速いマシンを手にしながら、天才シャルル・ルクレールのようには操れず苦労してきた前半戦。罠に陥るようにミスも重ねた。自らのドライビングスタイルを研究しつつ、マシンをつかみ始めたシーズン中盤、シルバーストンの予選では恵みの雨が降った。トリッキーなコンディションは彼の得意分野なのだ。