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《F1》フェラーリ12年ぶり開幕戦1-2フィニッシュ! 跳ね馬を復活に導いた、新規則の空力開発と“信じる力”とは

posted2022/03/25 06:01

 
《F1》フェラーリ12年ぶり開幕戦1-2フィニッシュ! 跳ね馬を復活に導いた、新規則の空力開発と“信じる力”とは<Number Web> photograph by Getty Images

ルクレールは安定したレース運びで完勝。フェルスタッペン(後方)は熾烈なトップ争いを繰り広げたが、レース終盤にマシンの不調でリタイヤ

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 開幕戦のスタート直前のグリッド上に、ゲルハルト・ベルガーとジャン・アレジの姿があった。93年から95年の3年間、跳ね馬を支えた名コンビだ。彼らがチームを後にして5年後の2000年、フェラーリはミハエル・シューマッハとともに2冠を達成し、完全復活した。

 あれから22年、今年の開幕戦バーレーンGPでフェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.が1-2フィニッシュを飾った。

 跳ね馬の1-2フィニッシュは19年のシンガポールGP(セバスチャン・ベッテル&シャルル・ルクレール)以来、約2年半ぶりだが、開幕戦での1-2フィニッシュとなると10年のフェルナンド・アロンソ&フェリペ・マッサ以来、12年ぶりの快挙だった。

 しかも、今回ルクレールは予選でポールポジションを獲得した後、レースでも堂々たる走りで快勝した。フェラーリの開幕戦でのポール・トゥ・ウィン&1-2フィニッシュとなると、04年のオーストラリアGPでのミハエル・シューマッハ&ルーベンス・バリチェロ以来、18年ぶりのこと。その年のフェラーリは18戦15勝という歴史的な強さでダブルタイトルを獲得しており、今季は08年以来14年ぶりの王座も決して夢物語ではない。

昨年の戦いを諦めて臨んだ開幕戦

 今年、フェラーリが復活した最大の理由は、マシンの空力に関する技術レギュレーションが大幅に改訂されたことに間違いない。空力の開発は時間との戦いであり、時間をかければかけただけ成果が上がる。メルセデスとレッドブルが21年に熱戦を繰り広げていた頃、フェラーリは早々に21年の開発を切り上げ、22年にシフトしていた。

 ただし、開発を早くスタートさせたことだけが復活の要因ではないことも確かだ。限られたリソースを次年度以降に回せば、目の前の戦いにおいて苦戦を強いられることは自明の理。苦境に陥ってもなおスタッフたちに目標をブレずに示すことができるのか。そこがリーダーにとって大切な腕の見せ所となる。

 14年から20年まで7シーズンにわたってF1を席巻してきたメルセデスも、それ以前はなかなか勝てない時代を過ごしていた。それでも14年から導入されるハイブリッド時代を見据えてマクラーレンからルイス・ハミルトンを獲得。当時マクラーレンはフェラーリ、レッドブルとともにトップチームの一角を形成しており、そのマクラーレンを離脱したハミルトンには「勝利よりお金を優先した」と批判が浴びせられたものだった。

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#カルロス・サインツJr.

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