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「一撃必殺で仕留めろ」小島聡51歳が語るハンセン直伝のラリアット「一生の宝になりましたね」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2022/07/16 11:05

「一撃必殺で仕留めろ」小島聡51歳が語るハンセン直伝のラリアット「一生の宝になりましたね」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

史上4人目の”グランドスラム”を達成した51歳の小島聡

 心を燃やしてくれる好敵手。

 16日、日本武道館大会で行なわれる初防衛戦の相手、37歳の拳王にもその雰囲気が猛烈に漂う。彼からすれば新日本からやって来た51歳のチャレンジャーがすぐに王座挑戦のチャンスを与えられてベルトを奪っていくのだから面白いわけがない。

「いい年こいて何やってんだよ」「バカか、てめえは」

 小島と拳王の舌戦が、かなり盛り上がっている。

 前哨戦を終えて拳王が「とっとと(控え室に)帰って7月16日のためにスクワットでもしとくわ」とマイクを置くと、「いいから帰って1000回やれ」と小島が指令。バックステージで拳王がホントにやっていると小島を見つけて「何見てんだ」と突っ掛かり、小島も「テメエ100回もやってねえだろう」と応戦して場外乱闘が勃発する。「おとなしくしてりゃいい気になりやがって」(小島)「新日本に帰れ」(拳王)とヒートアップしたままで次に持ち越され、舌戦の呼び水はスクワットからプッシュアップに。

「腕立て伏せやってえらそうにほざきやがってお前はバカか本当に。プロレスラーがやる腕立て伏せは普通の腕立て伏せじゃねえだろ。お前そんなことも分かんねえのか。ライオンプッシュアップっていうんだよ」

 そう言って小島がバックステージでお手本を見せていると、拳王が「いい年こいて何やってんだよ、オイッ」と襲撃。「なにライオン(新日本のマーク)恋しくなって、ライオンプッシュアップなんてやってんだ、バカか、てめえは」と捨て台詞を吐いてロッカーに消えていった。

 スクワットとプッシュアップがヒートアップの元になるという新機軸。子供のケンカのような(失礼!)言い合いのテンポや言葉のチョイスも、血気盛んなチャレンジャーにまったく負けていない。逆にイキイキとしているようにさえ映る。

「僕がプロレス大賞のMVPを受賞したのが35歳。拳王選手は今、37歳でしょ。年齢的、キャリア的にもちょうど全盛期に入っていると思うんですよ。体力も気力も充実しているのは伝わってきます。スクワット? ライオンプッシュアップ? 1000回やっとけっていう話ですよ。言い合いが盛り上がってるかどうかなんて知らないですけど、みなぎってるアイツの気合いを、俺の気合いで食い止めてやりますよ」

 うるさいくらいに腕が鳴る。

 小島聡は鼻息が荒いくらいでちょうどいい。

#1へつづく>

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