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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「貧民街育ちで銃撃戦が日常」「酒乱で恋人を木に縛りつけ」皇帝アドリアーノの“実は親思い秘話”… 引退後40歳の今、何してる?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNaoya Sanuki
posted2022/07/18 17:00
2005年コンフェデ杯のアドリアーノ。稀代の問題児は40歳になった今、どうなっている?
2010年3月、リオのファベーラで行なわれたパーティーに参加して酒乱状態となり、恋人と大喧嘩をした末、木に縛りつけたと報じられた。
リオの麻薬カルテルの首領になっていた幼馴染に高価なオートバイを贈ったり、犯罪組織に属する友人と共にマシンガンを構えた写真が地元紙に掲載され、闇社会との関係や麻薬の常用が疑われた。
2010年7月、ローマからオファーを受けて移籍。しかし、ここでも練習に身が入らず、8試合に出場しただけ。この年、自身3度目となるビドーネ・ドーロを手にした。
この時点でまだ28歳だったが、事実上、彼のキャリアは終焉を迎えた。その後、ブラジルの2クラブとアメリカ下部リーグのクラブに所属したが、4年間で12試合しか出場しなかった。
クラブで405戦177得点、代表で48戦27得点はすごいが
16年間のキャリアで、クラブで405試合に出場して177得点、ブラジル代表で48試合に出場して27得点。いずれも、凡庸な数字ではない。
リオの貧民街に生まれながら、イタリアで「皇帝」と呼ばれるほどの存在となり、ブラジル代表でも短期間ではあったが強烈な光を放った。
しかし、自らを御することができず、非凡な能力の一片しか発揮できなかった。
私生活では、一度も結婚したことはないが多くの女性と浮き名を流し、そのうちの2人の女性との間に16歳の息子と14歳と8歳の娘がいる。
引退後は、フットボールの世界とは距離を置く。それでも22年4月には古巣インテルを訪れており、さらに家族や友人と笑顔で過ごす日常をインスタグラムなどで発信し、800万人を超えるフォロワーがいる。
強さと脆さを併せ持つアドリアーノは、ブラジルのフットボールの光と影の両面を体現した選手だった。
第2回ではアドリアーノと同時代にプレーしながらも、対照的なフットボール人生を送るカカの今についてお届けする。
<#2/カカ編につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。