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「大好物はお母さんの作る明太子パスタ(笑)」“母は後藤久美子”ジュリアーノ・アレジ22歳が語る、日本での初一人暮らし
posted2022/07/16 11:02
text by
大串信Makoto Ogushi
photograph by
Asami Enomoto
その才能から活躍を期待されるレーサーだが、日本での一人暮らしは初めて。22歳の注目レーサーの日常を聞いた(全3回の3回目/#1、#2から続く)。
2021年から日本で闘い始めたジュリアーノ・アレジにとって、それまで活動していたヨーロッパのレース界と比較すれば日本のレース界は異世界だったようだ。だがその印象は悪くはない。
「レースがある週末のスケジュールが、自分の慣れていたヨーロッパとは大きく違った。ヨーロッパでは1日にミーティングが15もあってホテルに戻るのが夜11時になったりしたけど、日本ではすべてがシンプルに、クリアに進められた。仕事のやり方には、(ヨーロッパよりも)もっと情熱を感じる。ヨーロッパでは、スタッフの多くは給料が出るからレース現場に来るという人が多かったけど日本は(お金より)モータースポーツが好きな人たちが集まっている」
そんな異世界に、フランスと日本のハーフという立場で飛び込んで、自分の出自を特別に意識することはなかっただろうか。
「僕にとっては、普通のことだから。学校では英語で話して、家へ帰ったらお父さんとフランス語、お母さんと日本語、父方のじいちゃんばあちゃんとはフランス語、友達とはフランス語と英語で話していた。だから僕には、フランス人、イタリア人、日本人とかいう意識はあまりないんです。日本だって、母方のおばあちゃんに会いに15歳の頃まで4、5回くらいは来た記憶があって、ちっちゃい頃から大好きな場所でした」
「東京も楽しいけど、御殿場の方がピースフル」
今シーズン、トムスと契約して全日本スーパーフォーミュラ(SF)選手権シリーズ全7大会10レース、SUPER GT(SGT)シリーズ全8大会8レースを戦うジュリアーノは、静岡県御殿場市を拠点に各地のサーキットへ出かける生活を送っている。御殿場は、所属するトムスのオフィスと工場がある町だ。
「大好きな日本に住めて最高の気分です。御殿場は静かで良い町。もちろん、東京も楽しいことは楽しいけど、御殿場の方がピースフルな気がします。東京では外でランニングもあまりできないし、ジムも遠いし、渋滞もあるし、うるさい。東京の空気も悪くないと思うけど、でも御殿場の方がいい。そもそも、僕はちっちゃい頃から大きいシティに住んだことがないので、やっぱり御殿場が好き。毎日、マンションから出たら大きいビルが見えるような生活は絶対できない(笑)」
レースやテストのない日は御殿場で日常生活を送りながら、ジュリアーノは日本暮らしを楽しんでいるようだ。