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「新日本プロレスが存在している意味がない」オカダ・カズチカらは木谷オーナー“涙の猛ゲキ”にどう応える? 真夏の『G1』で反転攻勢なるか 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2022/07/14 11:04

「新日本プロレスが存在している意味がない」オカダ・カズチカらは木谷オーナー“涙の猛ゲキ”にどう応える? 真夏の『G1』で反転攻勢なるか<Number Web> photograph by Essei Hara

2021年の『G1 CLIMAX』で3度目の優勝を果たしたオカダ・カズチカ。木谷高明オーナーによる“涙の猛ゲキ”に選手たちは応えられるのか

「若手がどんどん個性を出せるような場を」

「弟子入りして縦社会で、丸坊主にして黒パンツ穿いてデビューして、っていう無個性から始まっているんですね。それはそれでいいところもあると思います。その後、色が着くことによって、お客さんも成長が実感できる部分もあると思いますけれど」

 力道山時代からプロレスはそれを踏襲してきた。新弟子の扱いは新日本プロレスでも同じだった。

「まず個性をなくすことから始めるのって、もうこれ、いったいいつの話だって話ですよね。まずは無個性から。それは日本の工業化社会のときに、均一の歯車のほうが便利だからだったんです。いまは個性を出す時代ですよね。最初は一瞬、無個性でもいいと思いますよ。でも、どんどん個性を出せるような場を、積極的に短期間で作ってあげるべきかなと考えています」

 木谷は道場での何十回のスパーリングより、実際に観客の前で1試合した方がレスラーとしての伸びが早いと思っている。だから、早く試合の機会を与えたいという考えだ。事実、アメリカ・ロス道場が主体の興行『STRONG』ではいい選手が育っている。

「新木場でも新宿FACEでもいい。若手がメインでもいいと思っています」

コロナ禍で激減した観客数…一方で明るい材料も

 コロナ禍と東京五輪開催の影響を受けた過去2年、新日本プロレスの人気シリーズ『G1 CLIMAX』は秋に開催した。そのG1の集客数を見てみると、3年前は9万6000人だった観客数が、一昨年は3万6000人、昨年は2万8000人と落ち込んだ。それを今夏のG1では5万人まで回復させるという意気込みだ。以前の約半分というテーマだが、会場に足を運ばないことに慣れてしまったファンを呼び戻すことは容易ではない。

 一方で、驚いたことがあった。7月7日に上野駅に近い飛行船シアターで行われた新日本プロレスの「戦略発表会」には約100人のファンが招待されていたが、その中の3分の1がまだ声出し観戦をしたことがないという。これらのファンはここ2年間でプロレスを見始めたということだから、明るい材料だ。

 後楽園ホールなどのチケットが売り切れにならずに容易に購入できるようになったことで、新たなファンが会場に足を運べるようになった、という表裏の関係だが、興行会社としては注目すべき数字だった。

 肝心の声出し観戦に、新日本プロレスは「政府の意向」を尊重していたため積極的ではなかった。声出しによって再び50%という制限が加わる観客席数の問題もあった。だが、遅ればせながら、9月5日、6日の後楽園ホール大会でテストケースとしてそれに踏み切る。レスラーの一方的な声だけでは会場にライブ感がない。逆に観客はストレスを感じてしまう。それが会場離れの一つの理由だろう。

【次ページ】 「猪木さんから勇気や夢をもらった」木谷オーナーの涙

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