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「新日本プロレスが存在している意味がない」オカダ・カズチカらは木谷オーナー“涙の猛ゲキ”にどう応える? 真夏の『G1』で反転攻勢なるか
posted2022/07/14 11:04
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「僕から見ていると、古い、遅い、固い、変化を嫌っている。今の日本と同じじゃないですか? それでは新日本プロレスが存在している意味がないんですよ」
7月7日、新日本プロレスの「戦略発表会」で木谷高明オーナーは語気を強めた。ファンの気持ちを代弁していると言いながら、そこにはオーナーとしての歯がゆさが十分に伝わってきた。自身の思いが会社によく伝わっていない、とも取れる発言だった。
「日々の仕事や生活に疲れを感じている人たちに試合を見せることで、感動してもらい、生き生きとしてもらい……。また、未来を自分で開拓しようとしている人たちに夢を与えたい。そういう意味で新日本プロレスが日本だけじゃなく、グローバルに攻めにいっていることを示したい」
レスラーの高齢化という切実な課題
木谷は熱く続けた。
「この程度で満足していちゃダメだと思っています。古い、遅い、固い、変化を嫌う。これを徹底的に変えて行きたい。もっともっと、いいものをマネすればいいと思うんですよね。僕は今、スターダムをやっているじゃないですか。19歳、20歳のAZMさんとか(スターライト・)キッドさんとか、すごいプロレスも巧いし、話していても大人なんですよね。なぜだかわかりますか? 始めたのが早いからですよ。AZMさんなんか小学校5年生から入門してやっているんですよ。だから、業界歴10年なんです。わかりますよ。プロレスって難しいスポーツだと思うんです」
木谷はあるプランを話した。
「一人前になるまで時間がかかる。だったら、始める年齢をもっと早くするという発想になぜならないか。高校から入門してもいいと思うんですよ。入門しながら高校に通えばいいと思うんですよ。卒業するときにこのままプロレスの道に進むのか、もしくは大学に行くのか、就職するのか、その時点で改めて考えてもいいと思うんです。僕はやっぱり、入門する年齢を早くすれば早くするほどいいと思う。オカダ・カズチカ選手は中学卒業して、もうメキシコ行ったりしているわけですよね。だから、今の時代に合わせて。20歳で自己プロデュースして売れている人、世の中、芸事でもスポーツでも、いくらでもいるわけですよね。もっともっと、早くすべきです」
新日本プロレスの大張高己社長は年代とレスラーの年齢層を示したグラフを見せて、危機感を訴えた。選手の平均年齢はこの10年間で30代前半から30代後半へと移行した。グラフの山がそのまま右へと移っているだけで、左側に“くぼみ”ができている。10年たてば、必然的に誰でも歳を重ねる。特に日本人選手は「25~29歳」の山が高かったのに、その山は右に移動して「35~39歳」が高くなった。左側の若い部分を補わなければレスラーの高齢化が進む。若いレスラーを育てないことには、この課題は解決しないのだ。