Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

[新旧マイクアピール論]内藤哲也×蝶野正洋「言葉が未来を左右する」

posted2022/07/15 07:02

 
[新旧マイクアピール論]内藤哲也×蝶野正洋「言葉が未来を左右する」<Number Web> photograph by Shunsuke Mizukami

text by

岡本佑介(東京スポーツ)

岡本佑介(東京スポーツ)Yusuke Okamoto

PROFILE

photograph by

Shunsuke Mizukami

ただ、強ければいいのか。決してそうではない。現代のプロレスラーには、ファンを時に幻惑し、時に籠絡するほどの強烈な発信力が求められる。トップシーンを知る2人が言葉をテーマに語り合った。

――今回は「マイクアピール」と「言葉」の重要性をテーマにお話を伺います。

蝶野 今の選手はうまい。素晴らしいよ、マイクが。俺らの時代なんて話にならない。例えば橋本(真也)選手なんかは、いざ! という場面で出た言葉が、「時は来た!」(注・'90年2月に橋本が蝶野と組みアントニオ猪木&坂口征二組と対戦前に口走った言葉)だもん。あのレベルだよ、俺たちは。あれ、吹いたよね?(注・吹き出したのは当の蝶野) 見てない?

内藤 見てました。小学校低学年とかだったのでハッキリ記憶がないですけど……。でも、どういう意味なんだろう? って(ファンに)考えさせるという意味では「なるほどな」ってなりました(笑)。

蝶野 今の選手はドーム級の会場をちゃんと締められる。俺らの時なんてほとんど締められないよ。天山(広吉)とタッグ王者だったころ、タイトルマッチをやってさ。当時は坂口さんが社長で、俺が適当に吠えた後で天山にマイク渡して「オイ、坂口さんに噛み付け」って言ったんだ。そうしたら「オイ! シャ、シャカグチ!」って。坂口を呼び捨てにできなくて、坂口と社長が混ざっちゃってさ(笑)。

内藤 僕がプロレスを見てた当時は、勢いに任せて何を言ってるかわからないマイクって確かに多くて。何を言ってるかわからないけど観客も「オー!」って盛り上がる。でも僕は「何を言ってるんだろう?」と思ってしまっていた。自分がプロレスラーになったらハッキリ伝わるようにやりたいなと思っていたので、マイクを持つようになってからはゆっくり、伝わるように言おうというのは心がけてますね。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 2972文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

#内藤哲也
#蝶野正洋
#新日本プロレス
#橋本真也
#アントニオ猪木
#棚橋弘至

プロレスの前後の記事

ページトップ