ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥本人が「背筋も喜んでるわ」と投稿…SNSで話題となった“驚異の背筋”を激写したカメラマンの証言「“筋肉の表情”を撮りたかった」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/07/12 11:01
ノニト・ドネア戦後に話題となった井上尚弥の“背筋”を収めた一枚。カメラマンが撮影の舞台裏を明かした
カメラマン「井上選手の“筋肉の表情”を撮りたかった」
杉山が井上を初めて間近で撮影したのが2019年10月、試合前のジムでの公開練習だった。
「カメラ越しに目を奪われたのが胸筋から脇腹、そして腹筋の筋肉でした。見たことないような筋が撮れたので、『これ撮らないで何を撮るんだ』って思ったんですよね。その筋肉の凹凸がしっかり目に見えるのがパンチを放った時。力が入っている時の“筋肉の表情”がすごいよかった。その瞬間に浮かび上がる筋肉、これを写真で表現したい。そんな意識を持ちながら、井上選手を撮るようになりました」
たしかに杉山が撮影した写真を見ると、サンドバッグを打とうと拳を引いている時に捻れた腹筋が浮かび上がり、爪痕のように斜めに数本の筋ができているのがわかる。胸から肩にかけての筋肉もパンチを打つ瞬間にはち切れんばかりの張りを見せているのが一目瞭然だ。
カメラマンも驚いた「バッキバキ」の肉体美
2019年11月のドネアとの1試合目も撮影していた杉山だが、6月7日の再戦での井上の変化はどうだったのだろうか。
「今回のほうが鍛え上がっていて、“バッキバキ”に見えました。井上選手の変化ももちろんですが、照明の当たり方も変わっていたように思います。前回はカメラマンが多くいる正面スタンド席側から撮ったのですが、今回は他のカメラマンがいなそうな全然別のところから狙おうと、ドネアコーナーの後ろ側、最後方近くにポジションを取りました。リングまで距離にして約50~60mほどでしょうか。
撮っていて気づいたのは、リング中央ではあまり目立ちませんが、コーナーに近づくと照明が斜めに当たり、コントラストが強く出ること。かなり後ろのほうで見下ろす形だったので、そのコントラストがより強く出る画角だったと思います」