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井上尚弥本人が「背筋も喜んでるわ」と投稿…SNSで話題となった“驚異の背筋”を激写したカメラマンの証言「“筋肉の表情”を撮りたかった」
posted2022/07/12 11:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Takuya Sugiyama
「あれだけ必死こいてトレーニングしたんだもんな。。背筋も喜んでるわ。」
6月7日にさいたまスーパーアリーナで行われた世界バンタム級のタイトルマッチ。ノニト・ドネアを倒し3団体を統一した井上尚弥は試合後、“ある写真”とともにこうツイートした。
コーナー付近で両腕を広げ、隆々とした筋肉があらわになっている井上の背中。左肩側には、くっきりと握りこぶしサイズのダイヤの形が浮かび上がっている。ツイートには11.3万件のいいねが付き、WBA世界ライトフライ級王者の京口紘人も「リアルに鬼の顔になってない?」とリプライをするなど大きな反響を呼んだ。
あれだけ必死こいてトレーニングしたんだもんな。。
— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) June 14, 2022
背筋も喜んでるわ。 pic.twitter.com/QAmNEAhHsr
KOパンチで浮き出た“エグすぎる背筋”
「この写真は背筋を狙っていたわけではないんです」
そう語るのは、この写真を撮った杉山拓也だ。1994年文藝春秋に入社し、W杯は2010年南アフリカ大会から3大会連続で現地入りするなど『Number』でサッカーなどの撮影を多く行ってきたカメラマンだ。ボクシングに関しては「専門ではないよ」と苦笑いを浮かべる杉山が、この一枚の場面を説明してくれた。
「第2ラウンドで井上選手はドネア選手をコーナーに追い込んで一気にパンチを浴びせました。この写真はその最後のパンチ、つまりフィニッシュシーンを撮ったものです」
ただ、杉山によるとKOのシーンではあるものの、決定的な瞬間からは一瞬ずれてしまっているという。
「シャッターを押した瞬間『ちょっと早かったかな』と思いました。写真を見るとドネア選手の顔にKOショットが浴びせられた瞬間ではなく、その少し直前。もう0コンマ0何秒か遅ければ、拳が当たったその瞬間を捉えられた……。『Number』の誌面でもこの写真は使われず、少し悔いが残る一枚だったんです」
この少し早かった“KOショット”は、井上の投稿により鍛え上がった背筋を見事に捉えた一枚として脚光を浴びることになった。杉山が振り返る。
「SNSで投稿された写真を目にして、『え? なんで自分の写真が使われているんだ?』と思いました。背中を改めて見て『たしかにすげえな』とは思ったんですが、自分が井上選手を初めて見た時から注目していたのは背筋ではなく、体の前側の筋肉だったんです」