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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥の“最後の標的”ポール・バトラー(33)とは何者か? 世界が注目する4団体統一戦へ「私は彼の大ファン。日本に行き、戦いたい」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byL)Hiroaki Finito Yamaguchi/AFLO R)Getty Images
posted2022/06/24 11:04
井上尚弥がバンタム級で目指すベルトはあと1つ。4団体統一に向けてターゲットになるのは“ナイスガイ”のポール・バトラー(右)だ
――先ほど、「統一王者になりたい」という言葉がありました。今後、同階級の最強王者である井上選手との対戦が視界に入ってくると思います。ドネアとの再戦を前にして、井上選手が「バトラーと戦いたい」と話していたことは知っていますか?
「いえ、それは知りませんでした。井上のような選手が私の名前に言及したというのは名誉なことです。井上は本当にとてつもないボクサーであり、同じ階級ではありますが、私は彼の大ファンでもあります。彼はパウンド・フォー・パウンドでも最高級の選手。そんな井上と戦えることになったら素晴らしい名誉です」
――井上の能力の中でどの部分が印象的ですか?
「井上のパワーはとんでもないと思いませんか?(笑)。ミドル級やヘビー級ですごいパワーを持った選手はいますが、ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級、バンタム級であれだけのパンチ力を誇示するような選手はなかなかいません。本当に驚異的です。(2019年5月)WBSS準決勝の井上対エマヌエル・ロドリゲス戦は会場で観ましたが、本当に恐ろしい強さでした」
「統一戦はなんとしても実現させたい」
――井上の存在に気付いたのはいつ頃だったのでしょう?
「私はスーパーフライ級時代にWBOタイトルのエリミネーター(挑戦者決定戦)に臨んだことがあり、当時WBO王者だった井上の強さを知りました。以降、常に井上には注目してきました」
――いつか戦う日が来ると考えていたのでしょうか?
「井上と戦うためには、タイトルを取る必要があると考えていました。バンタム級には多くの強豪がいて、誰もが井上との対戦を望んでいたので、チャンピオンにならない限りは自分が挑戦者に選ばれないとわかっていたのです。井上は統一路線を進んでいるので、王者にさえなれば彼の視界に入ると思っていました」
――井上がロドリゲスと対戦した際、対面は果たしたのでしょうか?
「私も同じカードで試合をこなしたのですが、会うチャンスはありませんでした。対面できていれば一緒に写真が撮れたので、会えればよかったのですが(笑)」
――王者に戻ったばかりですが、現在のプライオリティは防衛戦ではなく統一戦なのでしょうか?
「統一戦をなんとしても実現させたいですね。アスリートは最高の相手と戦いたいもの。井上はバンタム級で最強というだけでなく、パウンド・フォー・パウンドでもトップ3に入る選手。そんな相手とぜひ戦いたいのです」
――王者になって以降、IBF世界フライ級王者サニー・エドワーズ、バンタム級世界ランカーのリー・マクレガーといった英国勢もあなたとの対戦希望を表明しています。それらの試合も母国では大きな試合になりますが、それでもあなたの希望はあくまで井上戦なのでしょうか?
「100%、その通りです。私は英国のNo.1ではなく、世界でNo.1になりたいのです。世界最高の選手と戦えるのであれば、そちらの戦いが私の希望です」