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「最初に勝つ日本人騎手は『武豊』でなくては」ドウデュースで日本ダービー制覇、松島正昭オーナーが“武豊と凱旋門賞”にこだわる理由 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2022/06/25 17:00

「最初に勝つ日本人騎手は『武豊』でなくては」ドウデュースで日本ダービー制覇、松島正昭オーナーが“武豊と凱旋門賞”にこだわる理由<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

ドウデュースで日本ダービーを制した株式会社キーファーズの松島正昭氏。武豊騎手への思いなどを聞いた

「『武豊』というブランドが好きになった」

 そうして再び競馬に熱いものを感じるようになった松島氏は、大の武豊ファンになっていた。

「武君が乗っていた、スーパークリークやオグリキャップ、メジロマックイーンといった馬に惹かれたわけではなかったんです。それでも、憧れていました。馬券とは別に、『武豊』というブランドが好きになったんです。競馬サークルの枠を超えたスーパースターで、突出した存在じゃないですか。また、家も近いし、新幹線などでもよく見かけていたんですよ。『あ、武豊さんや』って(笑)。いつかどこかで話がしたい、一緒に食事をしたいと思っていたところ、共通の知人を通じて、会うことができたんです」

 それが20年以上前のことだった。

「付き合っても普通です。偉そうにしないし、本当に競馬が好きなんですね。僕の馬券の話をしたことはありません。言わなくても、勝ったか負けたか、様子からわかるのかもしれませんが(笑)」

「僕の馬じゃなくても、武君が凱旋門賞を勝つことが夢」

 個人馬主として初めて所有したのは、2014年7月の新馬戦で4着となり、5戦目、15年1月に初勝利を挙げたミコラソン(牡、父ダイワメジャー、栗東・小崎憲厩舎=当時)だった。

「前の年(2013年)に初めてセレクトセールに行き、4100万円で落札しました。これはエラいこっちゃと手が震えました。その前から、武君が凱旋門賞を勝ちたいと思っていることは知っていました。2006年にディープインパクトで負けたときはホンマに悔しくて、今でも夢に出てくるといった話を聞いて、そんなに凱旋門賞ってすごいのか、それほどまでに勝ちたいのか、と。それならば、自分のできる範囲で、一緒に凱旋門賞を目指せる馬を買ってみようと考えるようになったんです」

 その後、代表をつとめるキーファーズが、セレクトセールで1億円を超える高額な良血馬を次々と落札して話題になる。そして、冒頭に記したように、松島氏の夢は武とともに凱旋門賞を勝つことだ、と知られるようになっていく。

「そのように伝わっていることは知っていますが、正確には、僕が勝つことが夢ではないんです。僕の馬じゃなくても、武君が凱旋門賞を勝つことが夢なんです。僕の馬ならもっといいけど、とにかく、ファンとして武君が凱旋門賞を勝つところが見たい。日本人騎手で最初に凱旋門賞を勝つ騎手は『武豊』でなくてはいけないと思っています」

【次ページ】 武豊と挑む凱旋門賞への思い

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