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大学駅伝ではなく五輪を選んだ“5000mのエース”遠藤日向…指導者が明かす兄弟子・大迫傑との“意外な共通点”
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2022/06/18 11:02
昨年、惜しくも東京五輪出場が叶わなかった遠藤日向。先日の日本選手権で優勝を果たし、オレゴン世界陸上の切符を手にした
新シーズンを迎えると、今季初戦の金栗記念(4月9日)にはスピード練習の一環として1500mに出場し、日本歴代3位となる3分36秒69で走った。
4月中には長野県東御市で高地合宿を行い、参加標準記録突破を目指して5月4日のゴールデンゲームズinのべおか(以下、GGN)に臨んだ。そして、13分10秒69で走り、ついに標準記録をクリアし、世界選手権出場にリーチをかけた。
そのレース内容も圧巻だった。後方でレースを進めていた遠藤は、ラスト1周を前に外国人の選手たちをごぼう抜きし、満を持して先頭に立つ。さらに、ラスト1周は約55秒と驚異のスパートを見せ、先頭でフィニッシュした。
もちろん世界にはまだまだ上の選手がおり、このレースだけで“世界でも通用する”と言い切れるわけではない。それでも、日本人選手がケニア人選手らを突き放す場面は、これまでなかなか見られなかった。それだけに、遠藤の走りは大きな期待を抱かせた。
参加標準記録を突破した遠藤が、世界選手権に出場するには、日本選手権で3位以内に入れば良かったが、遠藤は勝つことにもこだわっていた。
「3位以内で内定するので、その点では気持ちに余裕があった。けれど、ディフェンディングチャンピオンとして勝つことも大事だと思っていました」
GGNの後は、再び高地の東御に上がり、日本選手権に備えた。そして、狙い通りに大会2連覇を果たし、オレゴン行きの切符をつかんだ。U18、U20と各年代で世界大会に出場してきたが、シニアで世界大会に挑むのは初めてとなる。
しかしながら、遠藤にとっては、もちろんここがゴールではない。
日本人初の世界選手権“決勝進出”へ
「現段階のポジションでは、世界陸上に出場する選手の中で僕は下から数えたほうが早いので、チャレンジャーとして、しっかり海外選手に食らいつきたい。出場することではなく、決勝の舞台を目標に頑張りたいと思っています」
男子5000mでは、世界選手権で決勝進出を果たした日本人選手はいない。世界が遠いこの種目で、まずは日本人初の“決勝進出”という快挙を成し遂げるつもりだ。
GGNでは、レース中に細かなペースの上げ下げがあったと言い、それに耐え抜いて優勝を飾っている。その時と同じようにレース中盤を乗り切れれば、決勝進出は十分に可能だろう。日本選手権も通過点。予選のある7月21日(現地時間)に向けて、着々と準備を進めている。