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石川祐希26歳「僕はチームを見ながらプレーすることには長けている」 ネーションズリーグへ、キャプテンが明かした自信と課題
posted2022/06/07 11:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
29年ぶりのベスト8入りを果たした東京五輪から10カ月。男子バレー日本代表キャプテンの石川祐希(パワーバレー・ミラノ)が、6月8日にブラジルで初戦が行なわれるネーションズリーグに向けて意欲を燃やしている。
パリ五輪の参加枠はこれまでと同様の男女各12だが、出場権の獲得方式は変わった。大陸予選がなくなり、世界ランキング上位の国が出場権を得ていくシステムだ。日本は世界11位(5月24日時点)。ネーションズリーグでは1試合毎にポイントが入ることになっており、石川は「勝つことが重要な試合が多くなってくる」と気を引き締めている。
5月に終了した今季のイタリア・セリエAではレギュラーシーズン5位、イタリア杯でベスト4進出と、いずれもキャリアハイの成績だった。'14年の初参戦から7シーズンで、公式戦通算186試合出場、通算1805得点という数字は見事。「最初に来た時よりはもちろん成長している」と胸を張りつつ、「僕はチームを見ながらプレーすることには長けていると思っているので、今後は数字に表れるサービスエースやスパイクという個人の能力を強化したい」と課題も明確だ。
「筋力を増やしても問題ない」
昨秋、ミラノに戻った時のこと。五輪で金メダルを獲ったフランス代表のバルテレミ・シネニエズやジャン・パトリーが堂々とチームを引っ張っていることを感じた。
「彼らを見て、五輪で金メダルを獲った経験がプラスに働いていると思った。僕自身、イタリアでの見られ方が変わったと感じたが、もう一回り成長する必要がある。代表でも結果を出さないといけない」
26歳。「大ケガをしたことがなく、もっと強化できる体だと思う。筋力を増やしても問題ないと思うし、成長できるキャパシティはある」。自身の行く先を見つめる表情は楽しげでもあり、まぶしく輝いている。
セリエAの今季プレーオフで敗れた時に感じたのは、勝つチームには窮地に立たされた時に力を発揮する選手、チームを勝たせる選手がいるということだった。「世界のトッププレーヤーを目指す」と公言し続け、上手い選手という域を既に超えた石川が歩むのは、“勝たせる選手”への道。一握りの者だけが持つ能力をつかむための戦いが待っている。