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プレミアリーグの時間BACK NUMBER
〈識者が選ぶプレミアベスト11〉 “38億円は高すぎ”不評を跳ね返したアーセナル新守護神、“心停止から復活”エリクセンらを称えたい
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2022/06/01 11:03
得点王に加え、アシストもリーグ最多を記録したサラーは計36ゴールに絡む活躍を見せた
ジョアン・カンセロは優勝の影の功労者
サイドバックには予想以上の働きを見せた2人を抜擢した。両サイドで存在感を見せたジョアン・カンセロは優勝の影の功労者だ。リバプールのアシスト源でもあるトレント・アレクサンダー・アーノルドほど目は引かないかもしれないが、チャンスメイカー揃いのシティにあって、リーグ戦での7アシストはチーム2番手。スルーパス21本はチーム最多なのだから、攻撃面でも立派に仕事をしたと言える。
左サイドのマルク・ククレジャも、利便性の高い選手だ。移籍1年目ながら、3バック採用時にはストッパーも務め、クラブ史上最高となるプレミア9位に貢献した。ホームで金星をあげた第36節のマンチェスター・ユナイテッド戦(4-0)では、力強く初ゴールを決めた後の感涙も光った。今夏シティが引き抜きに動くとの噂が、活躍のほどを物語る。
移籍の噂と言えば、ウェストハムでボランチを務めるデクラン・ライスも話題の的だ。シティから6位ユナイテッドまで、トップ6に並んだ“ビッグ6”の中で、守備的MFの枠を超え、攻撃参加でもダイナミックだった今季7位の「心臓」を欲しがらないクラブはないだろう。高度に安定したパフォーマンスで、プレミアでは最終節までトップ6を争い、ヨーロッパリーグでは準決勝まで躍進したチームの原動力となった23歳がベストイレブンのアンカーに相応しい。
ICDを装着してピッチに復帰したエリクセン
インサイドハーフの1枚はプレミア王者の「中枢」であるケビン・デブライネで決まり。リバプールやチェルシーとの上位対決でネットを揺らした勝負強さも頼もしい。地元の宿敵に快勝した第28節のユナイテッド戦(4-1)では、2ゴール1アシストを記録。最終節でイルカイ・ギュンドガンが決めたシティ優勝を意味する逆転ゴールも、ルーズボールに素早く反応した超高精度のプレーメイカーが完璧なラストパスで演出したものだ。
もう1人のインサイドハーフに、心臓にICD(植込み型除細動器)を装着してピッチに復帰したクリスティアン・エリクセンを選ばせてもらった。ブレントフォード入りは今冬の移籍市場最終日で、実働期間は短かった。しかし、人々に与えた喜びと勇気は絶大だ。
初先発は、昨夏のEURO2020で心臓発作に襲われてから約9カ月後となる第28節ノリッジ戦(3-1)。心停止から蘇った「創造力」を得たチームは、1引き分けを挟む7連敗を脱し、昇格1年目の13位フィニッシュへとペースを上げた。
第31節チェルシー戦(4-1)では、攻撃の糸を引きながらボックス内に走り込んで逆転の移籍後初ゴール。敵地での西ロンドンダービーでクラブ史に残る大勝に花を添えた。