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佐々木朗希と野田浩司の“19奪三振”に共通点が!? 27年前を知るレジェンド2人が語る「マリンの風」と「横滑りするフォーク」
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph bySankei Shimbun
posted2022/05/06 11:05
野田浩司が持つ「1試合19奪三振」に並んだ佐々木朗希。27年前を知るレジェンドが2人の共通点を明かした
「あの日の佐々木君のフォークは横にスライドするフォークがいつもより多かったように見えた。特に右バッターのアウトコース、左バッターのインコースに投げるフォークが右投手のスライダーのように食い込むような軌道。スローの投球映像を見ているとフォークの握りで最後に右手の人差し指を少し捻ってスライド回転を掛けているのかなと思った。
真っ直ぐ落ちないフォークほど難しいボールはないよね。フォークの割合が多くて、フォークをある程度予想して、カットしてファウルにしようとしても軌道が全く読めないから当たらない。野田さんの時もフォークがどう落ちるかわからなかった」(初芝氏)
“19奪三振”の体験者・初芝氏の見解を佐藤氏にもぶつけてみた。
「野田はスリークォーターの投手。フォークが横滑りすることがある。佐々木君はオーバーハンド。たしかにフォークの軌道は違うよね。でも、佐々木君の場合はフォークを投げる時に肘の角度を変えている傾向があるように思う。肘を上げて縦に振り下ろすフォークと、少し肘を下げてスリークォーター寄りにして投げるフォークがある。使い分けてるから横曲がりするフォークがあるんだろうね。本人に聞いてみたいよね」
「佐々木朗希はまだ完成形ではない」
マリンの独特の風だけではなく、指先の使い方、肘の使い方を変えて数種類のフォークを投げていると読んだ佐藤氏と初芝氏。そして2人とも口を揃えるのが、「佐々木朗希はまだ完成形ではない」ということ。球速は165キロを超え、フォークの精度もさらに上がると予想している。
日本のフランチャイズ球場の中では、最も打者が集中しづらいと言われる風が舞うマリンスタジアムで起きた伝説のゲーム。1995年と2022年に起きた出来事には、いくつかの共通点があった。
次はあの場所で一体、どんなドラマが生まれるのか?
1試合19奪三振、13連続三振、そして完全試合……起こりえないと思われていたことが起きたからこそ、またそれ以上のことが起きるのではと想像させてくれる2022年の春となった。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。