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「今思うと贅沢な悩み」渡邊雄太が“自信”と“不安”の間で揺れ動いたNBA4年目のシーズンを総括《一番印象深いゲームは?》 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2022/05/02 11:02

「今思うと贅沢な悩み」渡邊雄太が“自信”と“不安”の間で揺れ動いたNBA4年目のシーズンを総括《一番印象深いゲームは?》<Number Web> photograph by Getty Images

開幕ロスター入り、ローテーション外、プレーオフ出場とさまざまな経験をしたラプターズ渡邊雄太。シーズン終了の会見では、来季へ抱負も語った

 色々なことがあった中で、今シーズンを振り返ったときに思い出すことは何かと聞くと、渡邊は、12月13日のサクラメント・キングスとの試合をあげた。12点、11リバウンドをあげて勝利に貢献できたことが嬉しかった。NBAで初めてダブルダブル(得点、リバウンドなど2つの部門で二桁をあげること)を記録した試合でもあった。

「あの時はチームも勝てましたし、僕自身も……(活躍できた)。去年のシーズンはダブルダブルできていなかった中で、ローテーションの中の選手として初めてダブルダブルを達成できてっていうのは、すごく嬉しかった。ダブルダブルをとって、なおかつチームの勝利に貢献できたので、僕の中では(今シーズン)一番思い出に残っている試合かなと思います」

 個人のスタッツだけ見ると、26点、13リバウンドをあげた12月26日のクリーブランド・キャバリアーズ戦のほうが目立つが、この試合は、チームの主力選手の多くが新型コロナウイルス感染で離脱したため、急きょ契約した選手たちを率いて戦った試合。結局、渡邊の活躍にもかかわらずラプターズは45点差をつけられる大敗を喫している。自分のスタッツの見栄えのいい試合より勝った試合を選ぶところが、渡邊らしい。

レギュラーシーズンとは違うプレイオフの空気

 4シーズン目にして初めてNBAプレイオフに出られたことも、大きな経験だった。試合にはほとんど出られなかったが、プレイオフがどんな世界なのかは、ベンチにいても肌で感じられた。レギュラーシーズン以上にフィジカルに身体をぶつけ合う戦い。相手チームに対する詳細な対策と、試合ごとに、時には試合中にも修正するような戦術戦。そこには、レギュラーシーズンとは違う戦いがあった。

「もう本当に、もっと成長しなきゃいけないなって、より痛感させられました」

 渡邊自身、今の目標は単にNBAチームに入ることではない。「NBA優勝」「優勝するチームでローテーション選手として試合に出る」という次のステップの目標がある。それを実現させるためには、今の自分ではまだ足りない部分があるということを再確認できたプレイオフだった。

「今の自分の実力では、まだそこで活躍するには少し足りない部分はあるかなって痛感させられた。今回のプレイオフでは、なかなか競っている場面で出られなかったですけれど、ただ、ベンチから見ているだけで、それだけ感じることができたっていうのは、すごい大きかったかなって思います」

【次ページ】 「数字以上のシュート力は絶対にある」

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