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「今思うと贅沢な悩み」渡邊雄太が“自信”と“不安”の間で揺れ動いたNBA4年目のシーズンを総括《一番印象深いゲームは?》
posted2022/05/02 11:02
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
最後は穏やかな表情だった。
4月29日、日本のメディア向けに行われたシーズン終了のZoom会見に出てきた渡邊雄太(トロント・ラプターズ)は、シーズンを終えた充実感や安堵感からか、穏やかな表情をしていた。
ラプターズは、前日にフィラデルフィア・セブンティシクサーズとのプレイオフ1回戦に敗れ、2021-22シーズンを終えていた。NBA4年目にして初めて経験するプレイオフで、渡邊は4試合に出場したものの、すべて勝敗が決した後の数分のみ。シーズン半ばにローテーション外へと落ちてから悩み、苦しむ日々を送っていたが、最後まで挽回できなかった。
それでも穏やかな表情で会見に現れたのは、苦しんだなりの手応えがあったからだろう。3月に取材したときとは違い、前向きな言葉も多かった。
開幕ロスター入り→ローテーション外
今シーズンは、渡邊にとって長い、長い7カ月だった。自信と不安。充実感とフラストレーション。7カ月の間に、そういった正反対な感情の間を揺れ動いた。
去年9月末にトレーニングキャンプが始まった時点では、開幕ロスター入りを争う選手のひとりという、不安定な立場。その中で開幕直前に故障離脱というハンディを負いながらもロスター入りしたことは、大きな自信となった。
さらに自信をつけたのは、11月下旬に故障から復帰した後にローテーション入りできたこと。それから1カ月余りは毎試合10分以上試合に出て、得意のディフェンスはもちろん、リバウンドを取り、ほぼ毎試合得点をあげた。10試合に出場した12月は、平均22.1分出場し、8.6点、4.7リバウンド、1.3アシストをあげるなど、数字からもその貢献度がうかがえる。
しかし、1月頭に新型コロナウイルスに感染して欠場。回復して戦列に復帰してからは、12月のようなリズムをなかなか取り戻せなかった。そうこうしているうちにローテーション外に落ち、試合に出られない苦しい日々が続いた。