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「今思うと贅沢な悩み」渡邊雄太が“自信”と“不安”の間で揺れ動いたNBA4年目のシーズンを総括《一番印象深いゲームは?》
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2022/05/02 11:02
開幕ロスター入り、ローテーション外、プレーオフ出場とさまざまな経験をしたラプターズ渡邊雄太。シーズン終了の会見では、来季へ抱負も語った
「怪我から(シーズンに)入ったときは、正直、すごい心配だった。プレシーズンやトレーニングキャンプがすごくよかった分、怪我からのスタートで出遅れるのはあれだなと思っていたんですけれど、怪我から復帰して、しばらくローテーションの選手として活躍できて。そのときは本当に、自分自身ですごく自信がありました。(その後)試合に出れない時期が続いてくると、正直、自分自身に疑問をもった時期もあったりしたんです」
今は、それも贅沢な悩みだったのだと思えるようになった。そう自分に言い聞かせることで、シーズン終盤を乗り切った。
「ローテーションで出る楽しさを知ってしまったから、ローテーションから外れたときのしんどさっていうのがあった。言い方はあれですけれど、今までは出られなくて当たり前の選手だったのが、ローテーションを経験して、そこから出られなくなってしまった分、自分のなかでの気持ちの整理がつかなかった。大変ではあったんですけれど、それも含めて、今思うと本当にすごい贅沢な悩みというか。もし大学生の自分に『NBAの世界で、ローテーションから外れたからすごい落ち込むようになるよ』って伝えたとしたら、『そんな贅沢なことで悩んで、何言っているんだ』って言われると思うんで」
「自信をつけられたシーズンだった」
実際、改めてシーズンを振り返ってみると、悪いことばかりではなかった。むしろ、いいことのほうが多かった。ラプターズという「勝つことに貪欲なチーム」で、信頼できるコーチのもと、切磋琢磨できるチームメイトたちと共に戦ったことは、負けず嫌いの渡邊にとっても充実した時間だった。
そういうチームでシーズンを通してプレーし、しかも、シーズンの一部とはいえ、ローテーション入りして自分の力を発揮できたことは、自信につながった。
「シーズンが終わって、きのうの夜に来シーズンのこととか、色々考えていたんですけれど、絶対にこのNBAでやっていけるだけの力は今シーズンで証明できたと、僕自身は思っているんで。今シーズンは、色々たくさん大変なこともあったんですけれど、自分がこの世界でやっていけるだけの選手だと、自分のなかで自信をつけれたシーズンではあったかなと思います」